ヒーロー科と結界師2 (ページ16)

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「力を持て余してろくなことをせん輩もおるからな。
組織には、そういう者に居場所と力を使う場を与える意味合いもある
こんなこと言っても、まだわからんか…。まあ、お前たちにゃ関係のないことじゃ」

「関係ないってなんだよ！」

「正統継承者のお前たちにゃ関係ない。
ありゃあ…家督を継げぬはみ出し者の異能者達を母体とした集団じゃからな」

なんだそれ

朝ごはんを食べて制服に着替えて、家を出る

『利守、何してるの？』

「ドッグフードあげてるんだ」

「なぁ利守、いい加減ドッグフードはやめねえか？」

斑尾と金狼の犬小屋の前にドッグフードを置く利守

「でも、うちの開祖様の犬なんでしょ？大事にしろっておじいちゃんが」

「どーせそいつら、もの食わねーだろ」

「もーーー。良兄とお姉ちゃんが世話しないから僕がやってるのに！
妖ってこういう心遣いを餌にするんだよー？」

ほんとか…？

でも、この2匹も妙なんだよね…

昨日はどうもあの鬼にやられたっぽいけど、きっとまた大丈夫なんだろうし

前に他の妖に飲み込まれた時、後で必死に探したのに

次の日、犬小屋からケロっとした顔で出てきたもんな

『あ』

「時音！」

前の方に歩いている時音ちゃんを見かけた良守は、ひっきりなしに呼んでいく

「な、な、俺らも裏会の名簿に載ってるって知ってた？」

「あんた、やっとそういうのに興味出てきたわけ？」

『いや、さすがに、実物見るとね…。それによく考えたら私たちの周り、よくわからないことだらけだなーって思って』

「でも、1番よくわかんねーのはあの烏森の地だな。
進化の仕方っていうかさーー。力の与え方に差がある気がするんだけど…」

『あれ、妖なら無差別ってわけでも無いと思うんだよね
ほら、昨日の鬼も』

「あんまり面白がるんじゃないよ。あの土地は、あんたらが思ってるよりずっと怖いところなんだから」

「そうかな…」

「そうよ」

『私も良守も…あの場所を怖いと思ったことは、一度もないけどね』

っていうか、そもそも怖いところなのかな

あの土地って

「あ、守香ちゃーん！」

『出久くんだ。じゃ、良守』

「おう」

私が怖いと思うことはただ一つ

この土地で、私の目の前で、大切な誰かが傷つくこと

ただそれだけ