ネコとカラスと私、そしてバレーボール

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梟谷は準々決勝で敗退する形で幕を閉じた

















『面白かった』

「そうね〜」













夕方の東京体育館を背中にして歩き出す中、黒尾さんは「来年、ここに必ず来る」と決意表明をした
私はそれに何も言わず、ただまっすぐと見つめる黒尾さんを見た


















「来年は、美人なマネージャーが入ってくれるみたいだし？」

「クロって、しつこいよね」

「えぇ…突然のパンチ」











孤爪からの言葉に「ひどいな〜、傷ついちゃうな〜」と、思ってなさそうな声で言う黒尾さん
なんて言えばいいんだろう…お互いに本音で言い合ってる感じがする



















「倉梨さん、気にせず先に帰っていいからね」

「そこは、普通送って帰るからね。じゃないの？」

「…なんで送るの。倉梨さんだって、1人で帰りたいでしょ」












めんどくさいという顔をする孤爪に『はははっ』と笑うと「なんで笑ってるの」と、ムッと眉を寄せて唇を尖らせていた


そんな態度が面白くて、くつくつ笑っていると「藍」と静かな声が聞こえて来た
後ろを振り返ると、ベンチコートを着て立っている京治だった










静かに見据えている京治を見て察して『2人とも、先に帰ってくださいね』と言って京治の方へと歩く
2人は背中を向けて歩き出し、私は京治の手を取ってその場に立ち尽くす



















『凄かったね』

「……」

『相手、強かったね』

「……」

『京治、かっこよかったね』

「…」

『惜しかったね』















唇を強く噛んでいる京治に、ゆっくりと力が抜けるように京治の手を撫でる
小さく震え始めている肩を見て、京治の首に手を回す。背伸びをして頑張って抱きしめる


















『すっごく…っ！かっこよかったんだからね…!!』

「ゔん」
















うるうると潤む自分の瞳から涙がこぼれないように必死に耐える。多分、京治も耐えてる
お互いの顔を見ないで抱き合って、悔しさを分かち合う










悔しい、悔しくてたまらない、そんなことわかってる
京治の気持ちがよくわかるから、涙が止まらない
















「悔しい…もっと、もっと上手くなりたい」

『うん』

「来年は、絶対に優勝する」

『うん』

「絶対、負けないように強くなる」

『うん』

「そんで…木兎さんの前を切り開くセッターになる」

『うん』














1月の寒さの中、幼馴染が強く決意した

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