3話 互い ページ20
京治に言われて妙に納得できない。そんな私を見て、京治は「納得できない?」と、見透かしたように言う
『なんか…うん』
「まあ、藍が無意識に出てるわけだしね、自覚ないだけだし」
京治の言葉にさらに納得がいかずに眉をひそめる
「別に気にしなくていいんだよ?」
『そうだけど』
「その子が言っただけで、周りの子が言ってないなら」
京治にそう言われたけども…
(やっぱり気になる…)
前の席に座って背中を丸めてゲームをしている孤爪をチラリと盗み見る
カチカチと操作する音が雑音の中に溶け込んでいる
(孤爪の言った言葉に意味はない…単純に疑問に思ったことを言っただけ…でも)
気になる
「藍〜、現文の教科書ありがとう〜」
『あ、うん』
教室に入ってきた千代は「なんか悩んでる?」と現文の教科書を渡しながら聞いてくる
『あー…別に』とだけ答えておくと、千代は「ふーん?」とさほど気にしていなかった
「ねねね、聞いた?あの噂」
『噂?』
「バレー部の猫又監督、復帰するかもって噂」
『えっ』
「来年以降になるかもなんだって〜」
『………』
「2年になってからマネやったらいいんじゃない?」
『……』
「梟谷のイケメンも言ってるんだしさ、ね?」
背中を押そうとしてくれている千代に『考えてみる』とだけ答えた
教室を出ていく千代を見送ると「猫又監督、知ってるの?」とゲームに集中していたはずの孤爪が振り返っていた
『う、うん…昔に会ったことあるから』
「…音駒に来たのって、もしかして猫又監督がいるから?」
『う、うん…』
「…へぇ…珍しいね、それだけで学校決めるなんて」
『そう、かな…』
じっと見つめられてパッとそらしてしまった
孤爪の視線が、妙に突き刺さる
「なんか、ごめん」
『え?』
「倉梨さん、この間の気にしてる?」
『え、あ…いや』
「深い意味はなくて、ただ気になっただけだったから…ごめん」
『いいよ、大丈夫』
目を泳がせながら謝っている孤爪に、なんだか悩んでいたのがバカらしくなる
『孤爪って、人に謝れるんだ』
「なにそれ。おれだって謝る時ぐらいあるよ」
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紅 - いつも楽しませてもらってます!4話夏なのですが、黒尾が3年と言っている所があります。見間違いであればすみません! (3月14日 23時) (レス) @page30 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - もちだんごさん» ひゃー!すみません!ご指摘ありがとうございます!!また修正します!これからもよろしくお願いします! (3月11日 19時) (レス) id: c458529519 (このIDを非表示/違反報告)
もちだんご(プロフ) - いつも楽しみにしております!5-2話なのですが、本編の一年前であるはずなので夜久さんは3年ではなく2年なのではないかと思います。勘違いであれば申し訳ございません! (3月11日 17時) (レス) id: 993fbeabfe (このIDを非表示/違反報告)
???(プロフ) - 続きが気になる…!楽しみにしてます! (2月29日 23時) (レス) @page13 id: bbca191512 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2月29日 11時) (レス) @page12 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2024年2月28日 9時