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『お飲み物はいかがですか?』
にっこりと笑みを浮かべながらメガネをかけた顔でそう言う
ウェイター姿は板についていて、磯貝のバ先で手伝ってたことが活かされていてよかった
女性客がグラスに手を伸ばし、それに微笑み私はゴルツィネの方を盗み見る
別の招待客にアッシュを紹介しているようだったが…
(え、うそ…車椅子?どうして…)
怪我でもしたのだろうか…
心配してそっちを長く見ていると、傍らに月龍がいるのが見えた
(まずいな…あいつがいると)
とにかく一旦ここを離れよう…
踵を返して私はその場を離れ、奥へと向かった
《来瞳、どうだ?》
『アッシュが車椅子に乗ってる…』
《なに?》
『怪我はしてないと思う。顔色も悪くなかったから…ただ、動くことができないように何かされたかもしれない』
《想定内だったことだが、そうなってるとな…》
『大丈夫。必ず救けるから』
自分の腰にささっている、この鉄の塊で
(アッシュ…今、自由にしてあげるから)
キミと私はなにも似ていない
だってキミは、誰よりもすごくて
誰よりも強くて
私よりも自由な人なんだから
バアァン!
「「ヒャッホ〜!!!」」
会場のドアが思い切り開いた
顔を隠したシンたちが銃を持って乱入してきたのだ
「来瞳!」
『わかってる!』
メガネを捨てて腰にさしていた銃を取り出し、セーフティを解除して両手で支えて構えた
『動くな!』
「「!!」」
(その声…!)
『動いたら撃つ!』
「来瞳!?」
『………っ』
手のひらに汗が滲み始める
大丈夫
本気で殺すんじゃなくて、ただ怯ませるぐらい
(来瞳…なんて無茶なことを!ちくしょう、この目さえまともなら…!!)
『さぁ、両手をあげて跪いて…』
その時、ゴルツィネがアッシュの身体を引き寄せ首筋にナイフを突きつけた
「貴様に撃てるか!?」
『!』
「撃て!んなもんハッタリだ!!」
私の背中を守ってくれてるボーンズの叫びに呼応するように、1発の銃声が会場に響き渡った
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2023年4月17日 8時