77話 恋しい ページ14
「「無事でよかった、来瞳〜!!!」」
ショーターたちが連れてきてくれたのは、廃屋が立ち並ぶとある廃墟の一角だった
かろうじて電気が通っている廃墟は、もとは低所得者向けの集合住宅だったらしく、そのラクガキだらけの廃墟にみんながいた
クアマンとヒェーロンが涙を流しながら飛びついてくるのを抱き止める
「お前ーっ!」
「いきなり、1人で走ってっちまうから俺たち追いかけれなかっただろうがーっ」
「こいつら、お前が1人で行ったあとからずっと落ち込んでたんだよ。ホンット、めんどくせぇ」
「うるせえ、ボス!!」
相変わらず騒がしい…
「アッシュ、早く手当てしよう」
「…あぁ」
「来瞳、お前も怪我ひでぇんだ。手当てするぞ」
『え?あ、うん…』
アッシュは肩を刺されており、それを引き抜いて怪我の手当てを始めていた
私も見えるところは手当てをして与えられた部屋へと向かった
汚いベッドの上に飛び乗る
(ねむ…疲れた…身体、いた…)
いろんなものが押し寄せてきて、瞼がどんどん落ちていく
眠くてたまらなくて、すごく静かに眠りそうになったところにふんわりと毛布をかけられた
(だ…れ)
「もう寝ちまえよ…説教は明日にするからな」
心地よいその声に、反することなく私はそのまま眠った
ー翌日ー
『ん…』
ゆっくりと重たかった瞼が上がる
『朝…』
もそもそと起き上がり、かけられていた分厚い毛布と「んん…」とくぐもった声が聞こえてきて隣を見ると、半分毛布を使って寝ているアッシュがいた
2枚の毛布…1枚を私、そしてもう1枚の半分を私にかけている
(バカ、風邪ひくのに)
1枚の毛布をかけると、アッシュはそのまま小さく毛布で暖をとるように静かに眠りにつく
毛布を肩にかけてベッドから下りて屋上に出た
空は真っ青で、屋上に座ってぼんやりと眺めた
(空、青いなぁ…)
ぽけーっと、こうして空を眺めるの…いつぶりだろう
(たしか、あの時も…こうやって、空を眺めてたら)
“来瞳”
「来瞳」
『!』
同じタイミング、同じトーン、なにもかもがタイミング全てが合ってしまった
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2023年4月17日 8時