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「ラブレターをもらったことはあるのか？」
『あー。ない！』
「な、ないのか？」
『うん。告白はいっつも口でやったし』
理事長室を後にして廊下を歩いていると「あの」と呼び止められた
振り返ったそこには、男子生徒が立っとった
「どうかしたか？」
「あ、あの…大岡さんに用があって」
『え、ウチ？』
「は、はい！」
「……」
『豪炎寺くん、先に戻っといて。すぐに戻るから』
「…あぁ」
歩いてった豪炎寺くんを見送って『それで、用って？』と聞くと、男子生徒はもじもじしてからしっかりとした声で言うた
「に、2年の頃から好きでした!!! 付き合ってください!!」
『えっ…』
「っ…！」
廊下に思いっきり響いたその告白の声に廊下にいた人間全員が振り返ってこっちを見る
ウチは『あー…』と周りの目を気にしながら断るために口を開いた
「転校してきたあの日、あなたを見てすごく素敵だと思いました!! 優しいし、明るいし、いろんなことに丁寧で…！」
『あ、いや、ちょっと…』
「こんな俺にも優しく話しかけてくれたり」
(あかん…ウチ、キミのこと知ってるかって聞かれたらわからん…!!)
1人勝手に走っていく男子生徒にどないしたらいいんかわからんままに『ちょ、ちょっと待って』と声をかけるが、聞いてくれへん
「好きです！付き合ってください！」
『いや、まずは人の』
その時、ガッと手を掴まれた
「俺、本気です!! 考えてください！」
『っ…』
ヒソヒソとされるその声がやけにリアルに聞こえてくる
目の前にいる男子生徒の声よりか鮮明に聞こえてくる
あぁ、いやや
いやや
(いやや…)
「悪いが」
『！』
「こんなところでいきなりそう言われても、大岡が困るだけだぞ」
『豪炎寺くん』
ウチの手を掴む男子生徒の手をやんわりと離した豪炎寺くんが「あと」と静かに言う
「ちゃんと周りを見てから伝えた方がいい。大岡は、こういう場所で言われるのは嫌いなんだ」
「あ…」
『……ご、ごめんな…』
いくぞ。と、豪炎寺くんに手を引かれながらそのまま廊下を早足で離れた
「…………………(ｷﾞﾘｯ…」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年3月1日 11時
