37話 花火 ページ45
「返事は、いいんだ」
『うぇっ…』
「ただ、好きな人がいるって聞いたから…伝えたかっただけなんだ…」
『豪炎寺くん』
「だから、今のは気にしないで」
『豪炎寺くん！』
「！」
いやや
なんでそんな
『自己完結、せんといてや…』
「大岡…」
『なんで、ウチの気持ち確かめへんねん…ずるいこと言うて、ドキドキさせて…そんで告白して返事いらんから知ってて欲しいなんて…ずるい』
「……」
『ちゃんと聞いたらすぐわかる答えやのに、なんで聞かへんねん…怖いとか思ってるんやったら嫌いになるで』
「…っ」
息を詰めた豪炎寺くんに『聞いてみぃや！予想してる答えかなんて、わからへんやん』と言うと、彼は「いいんだ」と言う
「伝えれた、それだけで俺は」
『自己完結すんなって言うてんの！ちゃんと、ウチのも聞いてや…』
「大岡…」
『ちゃんと、聞いてや…ウチの好きな人…』
「………あぁ」
1人で終わらせようなんて、やめてや
『今日、ほんまは来るつもりなんかなかってん…でも、浴衣どれ着るかなんて聞かれて、柄にもなくオレンジ選んで…その人のイメージカラーやって思って…』
「……」
『サッカーの練習も付き合うてくれたし、ウチがサッカーに戻れるように背中も押してくれて』
「……」
『不器用で、優しくて、かっこよくて、ちょっと冷たいって思われてても、ほんまはサッカーに対しては熱い気持ち持ってて…かっこいいなって、思ってるねんで』
「……」
『……いつか、一緒にサッカーしたいと思ってて…いつか、お兄ちゃんと一緒にサッカーでゴール決めてくれたらどんだけかっこいいかなって…』
「………」
『キミはここまで言うても、自分やないって思ってるやろうからはっきり言うけど』
「え？」
こんだけ言うても、わかってへんのかい
『ウチの好きな人、キミやよ』
「え…」
一際大きい花火が打ち上がった
驚いた顔をする豪炎寺くんの顔がよく見えた
『言うとくけど、ウチの気持ち周りのみんなにはバレバレやってんからな…』
「そう、なのか？気づかなかった」
『やろうね！ウチは伝えるつもりなかったし！』
「…なんで」
『キミ、サッカーに集中したいって言うてたし、それなら邪魔せんように〜って』
「…………」
(あ、自分の発言に後悔してる)
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年3月1日 11時
