32話 イタリアの白い流星 ページ22
6月も後半
梅雨も明けて、今日から蒸し暑い夏に向けて日差しが強くなっている
「理英さん、本当にいいの？手伝ってもらって」
『家にいても暇だし…』
「姉ちゃん、家にいてもお菓子作ってるもんね」
『うっさい、活舞』
「理英さーん！タオルお願いしてもいいですかー？」
『うん』
「ふふふ」
「？」
「理英さん、とっても楽しそう」
(そりゃあねぇ〜)
音無さんからまっ白でふわふわなタオルを受け取ってベンチへと持っていく
ドリンクを用意する久遠さんと雷門さんを横目に、グラウンドでストレッチを始めるみんなを見る
「姉ちゃん、ストレッチ手伝って」
『うん』
「あの2人、本当に仲がいいわね…」
「活舞くんによると、喧嘩したことないそうですよ」
「ホントに仲がいいのね」
地べたに座って前屈する活舞の背中を思い切り押しまくる
「うへぇ〜」
『活舞、体柔らかくなったね〜』
「だろ〜？毎日、柔軟してるから」
ゆっくりと起き上がった活舞は「いつ来るん？」と聞いてくる
『さぁ…近いうちにはって言ってたけど』
「近いって言うて、2ヶ月近くも待たすんは違うと思う」
『まだ2ヶ月も経ってへんわ』
立ち上がった活舞は「早う会いたいな〜」と青い空を見上げながら言う
ーーーーー
ーーー
ー
「よーし！今日も特訓だ〜！」
ゴール前でそう拳を強く突き出す円堂くんを見ながらボーッとしとると「理英さん、ちょっといいかしら？」と雷門さんが言うのに顔を上げて差し出されたパソコンの画面を見る
「それで、このフォーメーションなんだけど」
『あー…黒陽だと』
その時、空を切るような音が聞こえて顔を上げた
「わっ！」
「えっ!?」
「あいつ…！」
円堂くんが慌てて止めたボールは、雷門イレブンが蹴ったわけでもなく、もっと離れた場所から蹴られたボールやった
「さすがだね、マモル！」
「フィディオ!!!」
「えー!? イタリア代表のフィディオでヤンス!?」
「なんでここに…」
「フィディオ、久しぶりだな〜!!」
「久しぶりだね、マモル」
「おう！それにしても、なんでここに？もしかして、サッカーしにきたのか!?」
「それもあるけど、会いたい人がいてね」
「ん？会いたい人？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年3月1日 11時
