31話 無茶をするな ページ20
「この…っ」
『悪いけど、ええ子やから早うおうちに帰った方がええで…』
「あぁん!?」
「舐めた態度とってんじゃ」
「おい！なにしてる！」
『！』
距離を詰めてきた不良たちを睨んでると、飲み物を買って戻ってきた豪炎寺くんが鋭い声をあげて怒鳴った
「お兄ちゃん！」
「夕香…」
「2人が何かしたのか？」
『…夕香ちゃん、行っといで』
「え、でも…」
『ええから』
不良の中から豪炎寺くんの方へと行かせるように背中を押すと、夕香ちゃんは豪炎寺くんの足の後ろに隠れた
「2人がなにかしたのか？」
「この女が舐めた態度とって」
「あれ、理英じゃん」
「あ？なにやってんだ？」
『萩介、陣』
反対方向から歩いてきた2人組に驚いとると「あぁん!?」と目の前におる不良が2人…というか、陣の方を見て顔を青ざめた
「さ、坂木陣…!?」
「お、おいマジか！あの10人相手にタコ殴りにしたって…」
「陣、なんか変な噂にオヒレハヒレついてるけど」
「あ"ぁん？」
「「ひぃっ！し、失礼しましたーっ!!」」
「わあっ！何もしてないのに、逃げてっちゃった」
「あ、あぁ…」
ドタバタと逃げていく不良たちを見送ってポカンとしてると「大岡」と豪炎寺くんが駆け寄ってきた
「怪我は？」
『なんもあれへんよ。夕香ちゃんも怪我あれへんよな？』
「うん！お兄ちゃん、かっこいいね〜！」
「あん？」
「何もしてないのに逃げてっちゃったね！」
「あ"ー…」
「してたもんね〜、昔は」
「うっせぇぞ、萩介…」
ふん、と怖い顔をした陣は「おう、嬢ちゃん」と夕香ちゃんの視線に合うようにしゃがんだ
「またなんかあんな怖いやつがちょっかいかけてきたら、俺を呼べ。すぐに助けてやっからよ」
「夕香にはお兄ちゃんがいるから大丈夫だよ」
「そうかよ」
「陣、振られたね」
『小学生の子にフラれるってダッサ』
「うっせぇぞ、萩介ェ！」
「え、俺ぇ!?」
頭をゲンコツでぐりぐりされている萩介が涙目で「いってぇって！」と訴えるが、陣は何も聞かないまま
「ってかよ、理英サンよぉ」
『？』
「お前なぁ、ああいうのは相手すんなよ。なにしたのかしらねぇけど、無茶すんな」
『どけって言われたから、ちょっと待ってって言っただけ』
「それならそうと早くどいとけよ。バカチンが」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年3月1日 11時
