30-5 ページ16
『ほぁ〜…豪炎寺くん、大人になってもこういうところ住んでそう』
「なんだそれ」
エレベーターでやってきた豪炎寺くんが住んでる階
ドアの前に立って鍵を開けて中に入って「ただいま」と穏やかな声を出す豪炎寺くんのあとをおそるおそるとついていく
「おかえりなさい!! あ！理英お姉ちゃん!!」
『お邪魔します、夕香ちゃん』
「夕香、お姉ちゃんがマドレーヌを作ってくれたぞ」
「すごーい！食べる!! ありがとう、お姉ちゃん!!」
豪炎寺くんから紙袋を受け取って「フクさーん！」とリビングの方へと駆け出してく夕香ちゃんに『元気やなぁ』とぼやくと、豪炎寺くんがスリッパを出してくれた
『ええのに』
「お客さんだからな」
『おおきに』
そのまま彼の後をついてリビングへと入ると「こんにちは、理英さん」とフクさんが出迎えてくれた
『こんにちは、お邪魔します』
「どうぞどうぞ」
「お姉ちゃん、こっちだよ！夕香のお部屋!!」
「あ、夕香」
「こっちこっち！」
『どっちどっち』
夕香ちゃんに連れられてやってきたんは、可愛い女の子らしい部屋だった
ベッドには、大きなカメとクマのぬいぐるみ
『大きいな…』
「お兄ちゃん、病室にこれを持ってきててくれたんだよ！あと、世界大会でも抱っこしてカメさん持って帰ってきてくれたの！」
『…………抱っこしたんだ』
「……そうやって持っていくしかなかったんだよ」
顔を背けて恥ずかしそうにしている豪炎寺くんに『へぇ〜』と見ていると、「夕香ちゃん」とフクさんがドアから顔を覗かせた
「マドレーヌをいただきましょうか」
「うんっ！お姉ちゃん、行こう！」
『あ、うん』
嵐のようにリビングに戻ってみると、マグカップの近くにウチが作ったマドレーヌが置かれてた
「夕香、お姉ちゃんの隣〜！」
「はいはい」
「すまないな」
『ええよ。ウチ、妹おらんかったから』
「夕香、お姉ちゃんの妹になるよ？」
『お兄ちゃんがショック受けるからそれは遠慮しておこうかな』
「お姉ちゃんがお兄ちゃんのお嫁さんになればいいよ！そうすれば、夕香、お姉ちゃんの妹になるもん！」
『豪炎寺くん』
「本当にすまない」
どこでそんなこと知るんや、今時の子っていうのは…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年3月1日 11時
