66-2 ページ26
「あの、お客さんとは」
佐田先生の言葉に明石さんのデスクにコーヒーを置かせてもらったその時、コツンという革靴の音が聞こえてきた
出入り口のドアの方に振り返ると、そこには長身の銀髪でサングラスをかけた人が立っていた
『?』
「…ん?」
私と大翔が首を傾げていると、その人は無言で少しずつ近づいてきて最後には飛び込む勢いで私を抱きしめてきた
「え"っ」
「んなっ」
「「えぇ〜〜〜〜っ!!?」」
「わー」
シン、ショーター、みんな、大翔の順に声を上げる
私は誰だかわからずにされるがままにキツく抱きしめられたまま、手を背中に回そうとしたら「久しぶり」と落ち着いた優しい声が聞こえてきた
その声を聞いて、ハッとしてすぐに顔を確認する
「久しぶり、プリンセス」
サングラスを外したのは、国宝級の顔面を持つ幼馴染だった
『ス、スヒョン!?』
「え、マジで?」
「久しぶり、大翔。元気にしてる?捕まったって聞いた時はビックリしたけど、元気そうでよかった」
かけていたサングラスを胸ポケットに差し込んだスヒョンは私の腰を抱いたまま大翔に声をかける
大翔は「うわ、まじ?久しぶり」とスヒョンの方に駆け寄って抱きしめた
「え、ツアーは?」
「日本公演だから帰国した」
「言ってくれたら空港まで迎えに行ったのに」
『ねー』
仲睦まじく会話しているとガシャンと何かが落ちる音が聞こえてきた
スヒョンは「なに?」と言って振り返った
「あ…アッシュ、いや、あの、これはそのだな」
ショーターが顔を真っ青にして慌てて入ってきたアッシュに取り繕っているが、アッシュはお構いなしに入ってきて、私の腰に回っているスヒョンの腕をとって「瑞姫」と、アッシュ・リンクスを彷彿させる声で問いかけてきた
「誰だ?こいつは」
『お、おおおおおお幼馴染です!!!』
ニッコォと効果音がつきそうなほどに暗い笑みを浮かべているアッシュに、ビクッと体を揺らしながら答えると「へぇ?幼馴染?」とスヒョンを見定めるように見始めた
「ただ背がデカいだけの人間が、瑞姫とどういう関係?」
「顔に自信のある奴ってろくな奴じゃないんだよね。お前こそ、俺のプリンセスとどういう関係?」
58人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年12月27日 10時