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「ちょっと…」
「おい、深山！」
立花さんとアッシュに呼び止められているにも関わらず、大翔がスタスタと歩いていく
「深山ー！」と佐田先生が呼び戻そうとするも、本当に大翔はお構いなしに歩いていく
「白樺！なんでああも深山は勝手なんだ！」
『………多分、怒ってるんです』
「…は？」
『重ねたから』
紺色のスーツ姿の背中を眺めていると「瑞姫、早くー」と急かす声がかけられた
カバンを引っ掴んで、『失礼します』と頭を下げてパタパタと大翔を追いかけた
ロビーで待っている大翔に駆け寄ると「帰ろっか」といつもの調子に戻っている大翔が歩き始めた
それを見ているとついてこない私に振り返り「どうかした？」と覗き込んでくる
『…なんか、ごめんね』
「……僕が許せないのは、あの時瑞姫のそばを離れた上に瑞姫を傷つけた奴を捕まえる力がなかった自分だよ」
『大翔は…守ってくれたよ』
「僕はそれでも許せない」
自分を許せないと言う大翔になんと言ってもきっと聞いてくれないし、自分を許さないんだろう
唇を噛んでいると、「ちょっと、何が起こってるの？」と立花さんが駆け寄って聞いてきた
大翔はすぐに顔を上げて「今回の事件、思ってたより複雑で根が深いってことだね」とすぐに答えた
ー数日後ー
『おはようございまーす』
朝から大翔とは別行動だ。というよりも、数日前、朝起きたら「行ってきまーす」という声と同時に2階から降りていたから、どうやら朝から気になることを調べたいらしい
置いて行かれた…とは思ったけど、大翔だから別に大丈夫だと思うけど…
「行方がわからないって、どう言うことだよ？」
「それがあの、静岡に行った日以来、三日間連絡が取れてないんです」
佐田先生の声と立花さんの声に首を傾げて様子を伺うと、「明石、メールは？」と佐田先生が尋ねる
「あいつ、いつも既読スルーなんで。白樺に連絡します」
明石さんがスマホを耳に当てて電話していると佐田先生の後ろから着信音が聞こえてきて「うわああ!?」と声を上げられた
スマホを手に持っていた私が『びっくりした…』と言って明石さんからの電話を切った
『どうかしたの？』
「深山が連絡取れないんだよ。白樺は？一緒じゃない、よな」
『置いてかれたから…』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年2月9日 10時
