同志の思いを胸に【BANANA FISH】 (ページ40)

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『こいつ、李家に脅されてたんだよ。スパイしろって』

「「は？」」

『それを聞いたのはこいつに私が頼んだことを調べてくれたあの日だった。帰ってきて様子がおかしかったから問い詰めたら教えてくれたよ
姉貴を人質にされてるってな。まあ、月龍の首筋を見てから手を打ってたけどな』

「く、首筋？」

『あいつの首筋に龍の刺青があるんだ。李家の紋章がな。それを見た時は流石に肝が冷えたけど、先手を打てばこちらが優位になる
宇宙には元から来日してもらうようにケープコッド出発前から連絡はしていたし、今後宇宙の変装は大いに役に立つからな』

「おかげで、仕事は有給休暇だよ」

肩をすくませた宇宙は、「ま、その分助かってるからいいけどさ」と付け加えていた

『で、ショーターと宇宙が入れ替わったのは…ジェシカ救出のためにアッシュたちが出て行ったすぐ後だ』

「ショーターと見てくるって言ったあの時？」

『そ。ショーターに扮した宇宙が外で待っててくれたんだ
そこから宇宙とショーターが入れ替わり、ショーターは私の知り合いのセスナに乗って一足先にニューヨークに戻り、用意していたホテルでことが終わるまで雲隠れしてもらってたってわけさ』

「そんな…」

『宇宙の変装は素人目じゃ絶対わからないし、宇宙の変装は今まで見てきた中でもトップクラス。そう簡単にはバレないさ』

「無茶振りにも色々応えようとしたら、技術があがったんだよ」

アッシュたちがぽかんとしているのに、「じゃ、じゃあ！」と英二が慌てて口を開く

「狐に化かされるなの意味って…」

『ショーターが偽物だってことに騙されてくれてありがとうの意味』

「んなっ…なぁっ…！」

『この作戦をショーターに伝えたのは、テラスで話を聞いた時だ』

ー数日前ー

「裏切れって…どういうことだよ!?」

ガタと立ち上がったショーターに『落ち着け。何も本当に裏切れとは言ってない』と冷静に伝えると困惑の色が見えた

『お前にはこれから数日間だけ姿を消してもらう』

「え？」

『お前とお前に扮した奴が入れ替わるだけだ。お前はその間にニューヨークに戻り、ことが収まるまで用意した場所で待機してもらう』

「そんなこと！」

『いいか、ショーター。これは遊びじゃない。命をかけた戦いなんだ。ギャングのボスを務めてるお前やアッシュなら、意味がわかるだろ』