同志の思いを胸に【BANANA FISH】 (ページ21)

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『…………なら考えろ』

「え？」

『世の中理不尽なのは常だ。今更それに嘆いたところで“今”が変わるか？変わらないだろ？
いいか、この世に生まれたからには、この立場に生まれたからには、その理不尽と戦って生きていくしかないんだ
自分のやりたいこと、貫き通したいことを曲げてでも通すなんてものは筋じゃない。屈服だ』

いつだってそうだ。神は残酷だ

『やりたいことも、なにもかも、諦めるな
もがいてもがいて、手にしろ…それが、貪欲に生きるってことだ』

「……………でも、姉貴が」

『自分を育ててくれた人を救いたいなら、自分の気持ちを押し殺すのか？
悪いがそれは得策じゃない。そんなので守られた人間の気持ちを少し考えてみろ
お前の姉が今のお前と同じ立場で、自分を差し出したらお前はどう思う？それと同じだ』

あの人が、それを教えてくれたから

“自分の命を投げ打ってまで守ってもらうことなど、誰も望んでいません。いいですか、海斗さん。先生はね、キミがキミ自身を大切にできるようにしたいのです
そのためなら、先生はキミの力になりましょう”

だから、お前に

『自分の命を軽んじるな。自分の命を投げ打つな。そんなことで守れると思うな。人生は無慈悲で理不尽なんだ
自分の命を投げ打ってまで守ってもらおうなんて思ってない。誰もな！
いいか、ショーター・ウォン!! てめェの宝物を守りたいなら、てめェも宝物も全部守れるぐらいに強くなれ！
てめェはまだガキだ！ヒヨッコさ！何もできない、力もない！ただの無力なガキだ！それでも！守れるくらい、強くなれ!!!』

「ッ！」

胸ぐらを掴み、ショーターにそう怒鳴りつける
ぐっと唇を噛みしめ、何かに耐えるような顔をするショーターに『いいか、ショーター！』と真っ直ぐと見つめる

『守りたいもんは、守らなきゃ全部こぼれ落ちるんだよ!!
お前が何もしてなくても、人々は奪い取っていく！なら、抗え!! 戦え！何があろうと、自分を信じて戦え！』

たとえお前がどんなことを決めようと、それを尊重する。お前が考えていきついたことなのなら、それがお前の答えだと言うのなら

「海斗…！」

『………』

「…救けてくれ…！」

誰だって言っていいんだ

『遅ぇんだよ、ハゲ馬鹿野郎』

救いの言葉は、平等にあるのだから