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「あんた息子だそうだけど、親父は名前からして東洋系じゃないな？」
「僕は養子なんです。父には子どもがなくて…息子にならないか、と」
「玉の輿か」
『嘘つけ…』
嫌味っぽく言うアッシュの隣を歩きながら小さく言えば「え？」とこちらに振り返ってくる
腕を組んで背中を壁に預けて、息子だと名乗る少年を頭の先から見る
「あ、あの…なにか」
『………いーや？』
肩をすくませてなんでもないように振る舞い、視線を切らす
どうにも気に入らない。というよりも、この現状がよろしくないのだ
明らかに追い込まれている。タイミングの良さとこの現状、どう見たって仕組まれているとしか考えられない
「で、その博士は？」
「父は、半年前から行方不明なんです」
少年の口から聞かされたその言葉には、さすがに耳を疑った
ー書斎ー
案内でやってきたのはドースン博士の書斎だった
中に入ってみれば、中はめちゃくちゃに荒らされていた
「…ひでえな。警察には？」
「届けました。でも数人警官が来ただけで」
「心細かったろうなあ…お父さんは行方不明だし」
『…………』
気遣うような英二を一瞥した後、床に散乱した本を一冊手に取りポンポンと叩く
部屋の中をぐるりと見ていると「どうかしたか？」とアッシュが聞いてくるのに『なんか、変だよな』と手にしていた本を押し付けた
「親父さんがどこへ行ったか、心当たりは？」
「あの…一体なにがあったんです？あなた方はどういう…」
「あ、それはその…」
マックスが言いづらそうにしているのを一瞥した後、引っ掻き回されたこの部屋で唯一無事のパソコンの前にある椅子に腰掛けクルクルと回る
「姉さん、何してるの？」
『…変だと思わないか、英二』
「え？」
『この部屋がこんなに引っ掻き回されているにも関わらず、この中で唯一傷がついていないものがある』
「え？」
パチパチと目を瞬きをした英二は部屋の中をぐるぐると見回して「そんなの…」とこちらを見た瞬間「あっ！」と大きな声をあげて私の後ろにあるパソコンに指をさした
『そう…こいつさ。こいつの中身は情報の塊だ。しかも、こいつの本体がまだ温かい。大方、パスワードがどうかで入れなかったから見るのはやめたってとこだろうな』
「ひぇ…」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
