同志の思いを胸に【BANANA FISH】 (ページ13)

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クルリとパソコンの前で椅子を止めて『なあ』と少年に振り返った

「はい、なんですか？」

『こいつの中身、見ていい？』

「え？あ、はい…でもログインするにはパスワードが…」

『なんとかするさ』

「できるのか？」

「んなわけあるかよ」

「姉さん、今回は何分でするつもりなの？」

「「ん？」」

『そうだな…多く見積もって…時間はかかるかもな』

「え、そうなの？」

『あぁ…まあ、なんとかするよ』

余裕の笑みを浮かべてパソコンを起動させる
ウエストポーチから何本かのUSBメモリを取り出し、ケーブルとスマホをデスクの上に置いてキーボードを叩く

『さて、と…久しぶりに本気出すか』

最近、やってなかったソフトやアプリで遊ぶ子どものように目を輝かせる

「姉さん、ご飯どうする？」

『勝手に食ってていいよ。ハッキング済ませてから食べる』

「わかった」

歩き出した英二を見送り、背もたれにもたれると「なにするんだ？」とアッシュが興味津々に聞いてくる
隣にはショーターも現状を知りたい顔で覗き込んでくるから『ハッキングする』と答える

『…お前ら』

「「？」」

『あの子ども、調べれるか？』

「何か気になるのか？」

『わからない…ただ強いて言えば…静かすぎる
歩く音すら、服が擦れる音すらしないんだよ…なんとなくだが、匂う』

「ふーん…」

「なら、俺に任せろ。明日の朝から調べてくるよ」

『あぁ…頼む』

ショーターがパタンと部屋から出ていくのを確認すると『で、お前は？』と後ろに立ち、椅子の背もたれに腕を置いてパソコンの画面を食い入るように見ているアッシュに声をかけると「見学」と新しいおもちゃを目の前にした子どものような顔をしていた

『はいはい、お好きに』

USBメモリを挿しこみ、『律、いけるか？』とスマホとケーブルをパソコンに接続した

《準備万端です。いつでも開始できます》

『とりあえず、焦らずひとつずつ攻略していこう』

《了解です！》

さてと、長丁場になりそうだな

カタカタとキーボードを叩きながら少しずつハッキングを進めていく
カチカチッとマウスを動かし、それに合わせてキーボードも叩く

ひたすらに同じ作業、同じ工程を何度も繰り返しているとアッシュが「まだかかりそうか？」と痺れを切らして聞いてきた