もう1人の正統継承者【男主】 (ページ17)

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3話人間霊ページ17

「何やってんの、あんたは…」

時音はすぐに良守の耳を引っ張って少し離れた場所にいくと、ヒソヒソと話し始める
俺は何もすることなく、ただただ2人の様子を見ているだけだ

「え、なに、なに？
この子、キミのお姉さんかなにか？」

「姉さ…ってなんだよ、ちげーよ!!」

「良守、相手にしないの」

「あれ！もしかしてキミ、僕のこと見えとるん!?」

「ちょっ、おいコラ！
やめとけ！こいつは俺たちと同じ術者だが、俺とは桁違いに容赦ない鬼のような…」

そこまで言い終えた良守は、しゅううう…と地面に倒れた
もちろん、ぶん殴ったのは時音だ

「誰が鬼よ」

(鬼だろ)

しかもグーで殴るか、普通
どんだけバカ力だ。見ないうちに力つけたな、嫌な意味で

「あたしをなんだと思ってんの？
こんなレベルの霊相手にしないわよ
でも、あんたには言っておく。現世にいていいことなんてひとつもないよ
下手な未練捨ててすぐに成仏しな。あんたは全てこっちの理から離れてる」

「どうゆうこと？」

「つまりね、あんたはもう存在自体がこっちの世界のバランスを崩すの
あんたの想いはこっちにねじ曲がって作用する
あたしたちはまだ耐性があるけど、そうでない人間はあんたが近づくだけで心身に変調をきたすこともある」

『…………』

火をつけたタバコを口元に当てて、静かに時音の話を聞く

「あんた、危険なのよ
自分が化け物だってこと、自覚した方がいい」

『………』

そこまで言い終えた時音に俺は頭の後ろをかいた後、『時音』と前に立つと、ペチンと優しく時音の頬を叩いた

『言い方ってもんを考えろ』

「でもっ」

『お前のその言い方は何も生まないし、ただただ自分が化け物だと言われて混乱してしまうだけだ』

「………」

『お前はキツイ性格だから、そういう言い方になるかもしれないけど…せめてもう少しだけでいいから順序を追ってから言うようにしろって、ガキの頃から言ってんだろ…』

少しいじけた時音に、俺は少し息を吐いた後『何も言い方が全て悪いわけじゃない』と時音に目を合わせるようにほんの少し屈む

『お前は自分の父親の霊にそんな風に言えるか？』

「っ！」