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それから何度もエリちゃんの面倒を見ることや、膨大な実験内容に目を通すことが日常的になっていった
オヤジ様はこの計画に反対だった
兄は私やエリちゃんのことを使える道具と思っているのだろう
どれだけ壊れても私や兄がいればエリちゃんは再生できるし、自分にもし何かあれば同じ“個性”を持つ私がなんとかすることを兄は夢見ていた
ただそんなことをしてもらっても、していても、私が幸せだと感じることはなかった
ただ虚しく辛い日々が始まるだけだった
「青子、大丈夫か？」
『ん』
父はどんな人だったのだろうか
強い人だったのだろうか…優しい人だったのだろうか
母はどんな人だったのだろうか
優しい人だったのだろうか…美しい人だったのだろうか
どちらにせよ、私が自分の両親を知ることはもうないだろな
『…ブランカ、タバコ吸うの？』
「ン？まあね…口が寂しい時にね」
『…うまいの？』
「いいや？」
『…ふーん』
タバコを灰皿においたブランカは、「キミはタバコは好きかい？」と聞いてきて私は首を横に振った
『肺を汚すし…』
「そうだね、私もおすすめはしないよ。たしなむ程度なら構わないだろう」
『たしなむ？』
「え？」
タバコの良さを感じることのなかったアッシュが、顔を上げた
たしなむ…？
“タバコはたしなむ程度が1番いいんだよ”
部屋の中に充満するこのタバコの匂い…兄が好きだったタバコの匂いだ
いや、兄が吸うよりも前に…どこかで嗅いだことがある
どこだろう…炎司さんが吸うわけないし、兄さんたちもタバコは嫌いだ
どこで嗅いだんだろう…どこ？
“そいつを渡せ、ジジイ…
売り飛ばせばそれなりの高値になる…青い瞳だぞ？”
“ふざけるな!! お前は自分の「………」になんてことを言うんだ!! 出て行け！”
頭の中で聞こえる知らない男2人の声が響いていく
いつだろう、誰かに抱き抱えられてる…優しい温かい温もりが微かに震えている
“大丈夫よ…破無…。あなたを、誰にも渡さないから”
『…誰？』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年5月29日 0時
