元殺し屋はヒーローになる19 (ページ22)

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アッシュside

青子の口から出た言葉は意外だった
弱音を吐くことのなかった青子が、今言葉にした「捨てた」の言葉に俺は例えようのない胸の痛みを感じた

『なんで…我が子を平気で捨てれるの…
なんで…我が子に平気で強く当たれるの…
なんで…我が子の存在を否定するの…

なんで………なんで…………なんで…私を捨てたの』

喉が鳴った
ヒュッとした

いつになく自信がなく、弱々しい青子を見るのは初めてで、なんて言えばいいのかわからなかった
俺にとって青子は最高の人で、俺を救ってくれた人でもあり、俺だけのヒーローだった

そんな人間が、今目の前で…辛そうにしている

「キミのご両親は、キミを愛していたからこそ離れたのじゃないか？」

『愛していたなら、なんで会いにきてくれないの？
死に物狂いで強くなって、雄英で優勝して……もう、意味わかんない』

日本語で訴えたのに対して、俺とブランカはわからなかった
知らない言語、だけど青子は苦しんでる

『もうやだ…………誰か、助けて』

ー数日後ー

ズコーーーーッとオレンジジュースをストローで飲む
もちろん、目の前の席に座るのはコーヒーを飲んでいる青子

あれから青子はいつもの調子に戻った
精神的に参っていたのをどうやらリセットしたらしく、今じゃ普通だ

「なあ、青子」

『んー？』

「俺さ」

『ん』

ホッチキス止めをされた資料から目を離したコーヒーを飲む青子は俺を見ると、『ブッ』とコーヒーを吹き出した

ボタボタと口からコーヒーを垂れ流した青子は俺から目を離し、窓の外を見ていた
振り返ると、黄色いタコがいる

タコ？

「え、なんだあれ」

ガタンッという音と共に青子が出て行き、タコらしきものを連れてどこかに行ってしまった

青子side

『なっっっっっっっっにやってんだよ、殺せんせー!!!』

「にゅやッ!?」

『こんなとこ来て意味あるわけ!?』

「青子さんの様子を見に…つい」

『ついじゃねぇよ!!』

完全にアッシュにバレたし、こんな3メートル近くあるタコ型超生物についてどう説明しろっていうんだ
地球を破壊しようとしたやつですなんて言ってみたら、きっとアッシュのやつ「馬鹿か？」とか言うに決まってる