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「青子ちゃんにとって大事なのは、その子が今どんな状況に置かれているのか
アッシュが今現在、ゴルツィネに苦しめられていること、合意の上でのことではないこと、調べれば調べるほど埃が出てくること、それらを全て余すことなく青子ちゃんは調べ尽くしたんだよ
おかしいでしょ？この1、2ヶ月でこんなに証拠を掴んだんだ」
クリアファイルから出てきたのは、10枚束でホッチキス止めされた資料が何束も出てきた
それを恐る恐る見つめていると、「見てもいいよ」と尚哉が言うもんだから俺はゆっくりと手を伸ばした
この資料を作成した人間は、事細かく詳細を調べて、意味のわからないものは解説を加えたり、わかりやすく簡潔にかつ明確な記載をしていた
パラパラと目を通していくと、最後のページで手が止まった
作成者の名前だ
「青子…」
「この資料全部、青子ちゃんが作ったんだよ
武器庫から何から何まで、全部青子ちゃんがあの屋敷で自分の目で見て調べたものなんだよ」
「青子が…？」
「うん。他にも、アッシュよりもう少し小さい女の子のことについても調べてることがあってね
そっちの資料がアッシュのよりも倍あるんだ」
「…これも、全部青子が？」
「そうだよ。3年間で集めた資料だよ」
分厚くまとめられた一冊のファイルは、何度も読み返されていたのだろう
端の方がボロボロで、手垢もついていた
その一つ一つが青子が努力した結晶なのだと分かった
「俺は、俺はなんてことを…」
「アッシュ…」
「青子は、こんなにも…頑張ってるのに…俺は…っ」
「……青子ちゃんは、アッシュのために資料を作ってるんだよ」
「…俺の？」
「隼人が言ってなかった？
いつかゴルツィネを捕まえるってさ。それを言い出したのは青子ちゃんなんだよ」
「え」
「青子ちゃんね、ゴルツィネのこと簡易的に俺たちから聞いてアッシュが出入りしてることを聞いて、速攻でアッシュのこと簡単に調べてゴルツィネの趣味とか全部諸々込みで考えてアッシュを助けるためにゴルツィネに近づいたんだよ」
「そんな…！バレたら殺されるんだぞ!?」
「うん、そうだね。殺されるだろうね」
表情を変えずに尚哉が頷くのに俺はヒュッと喉が鳴る
こいつらは、青子が大切じゃないのか？大切ならなんで止めないんだ
「青子ちゃんはね、こうと決めたら誰の意見も聞かないんだよ…」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年5月29日 0時
