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『つ、紡宮?』
下を向き、ずっと黙っている紡宮は「姉ちゃんはしねぇのか?」と小さくつぶやいた
『?』
「そんだけ…バレーもサッカーもできたら…」
『私は、紡宮とお兄ちゃんを支えたいと思ってる』
「!」
『私にできる最大限のことを、2人にしてあげたいの
別に、何かしたいっていうのはないよ?部活とかするよりも、2人が頑張ってるところを見たいんだもん』
ポーーンッとボールをオーバーであげれば、紡宮もそのままオーバーで返してくる
スパイカーにあげるトスだ
『私は2人のバレーしてる姿、サッカーしてる姿が大好き
私がしたいことだし、何があってもやり遂げたいって思うの』
「…………」
『紡宮は、私が部活とかしないの嫌?』
「嫌じゃねぇ!! ただ…やりたいこと、押し殺してるんじゃって、思ったから…」
『そんなことないよ。私にとって今1番したいことが、2人を支えることだもん』
「…そっか」
『うん』
「…弁当、美味しかった」
『それはよかった!』
ポンッと弧を描いたボールを見上げる
太陽と重なって一瞬暗くなるボールに、私はほんの少し目を細めた
アッシュside
「あれ、澪緒は?」
「そういえば…」
「腹減ったー」
「さっき食べたじゃないか」
「カバンは置いてるし…どこ行ったんだ?」
ショーターがキョロキョロと辺りを見回せば、ポーーンッと上がる何かが見えた
『あっ』
「姉ちゃん、下手くそ」
『スパイクは難しいんだもんっ』
「俺取ってくるからそこで待ってて」
ボールを取りに走る男に『ごめんねぇ』と手を合わせたのは、あの転校生
「知り合い、なのかな?」
「みたいだな」
「でっけぇー」
「ありゃあ、身長170は超えてんだろ…」
「いいなぁ」
「シンも大きくなるよ」
「だといいけどなー」
ボールを持ってきた男は、少し転校生と話した後、対面するように立ち始めた
「姉ちゃん、行くぞー」
『うん』
「なにすんだ?」
「さぁ?」
ボールを持った男は、何度かボールをバウンドさせた後、ボールを放り投げてステップを踏み始めた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年3月23日 22時