4話 居眠りの時間 ページ40
1時間目、2時間目、うとうとしながら授業を聞く
ぐわんぐわんと頭が揺れるのをなんとか耐えながら、午前の授業を乗り切った
『…ぐー』
「澪緒?」
「お弁当食べないの?」
『んぐっ…』
「眠いなら寝ろよ?」
「っていうか、朝からこうなのか?」
「あぁ。ずーっと頭が揺れてたな」
パチパチ…と目を瞬かせると、大きく伸びをして眠気を覚ます
「澪緒、大丈夫か?」
『大丈夫…』
「いや、ぽやぽやしてる」
シンくんに答えたけど、こんなに眠いなんて久しぶりで…どうやって起きていたかまるでわからないぐらい頭がぽーっとする
『ん…』
「弁当食わねぇの?」
『食べたら眠くなるからいい…』
お弁当を机の端に置くと、「俺食べたい!」とシンくんが言い、『あげるー…』と保冷バックごと渡すと「やったぜ!」と言って嬉しそうに受け取る
「今日は誰が作ったんだ?」
『んとねー……紡宮』
「紡宮?」
『んー……ぐぅ』
「寝た」
アッシュside
紡宮?誰だ?兄貴か?
「寝ちまったから、誰なのか聞けねぇな」
「いいじゃん。起きた時に聞けば」
「まあ、そうだけどな」
「っていうか、この卵焼き甘い!」
「だしじゃないのか?」
「甘くてふわふわしてる」
「俺も俺も!」
「僕も」
転校生の弁当ひとつに群がるシンとショーターと英二
何がいいのかわからない俺は菓子パンを口の中に放り込む
「ほんとだ!」
「甘くてふわふわしてるな」
「アッシュも食べてみろよ」
「いらねぇよ」
あぐっと食べた菓子パンをもぐもぐと噛みながらごくりと飲み込む
他人の弁当なんか食ってられっか
「にしても、よく眠れるなこんなうるせェ中」
「すげぇ、爆睡してる」
シンが目の当たりを手で振ってみるも、相手はずっと眠っている
どんだけ眠かったんだよ…
転校生を寝かせたまま、俺たちは自分たちの昼飯を食べ終え、予鈴がなるまでくだらない話を続けた
その間、転校生は起きることなくずっと眠ったままだった
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年3月23日 22時