悪鬼滅殺に命を懸けた1人の剣士 弐

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「私はね、神瞑
神瞑の幸せを望んでいるよ…鬼殺隊として生きて、鬼殺隊として死んでしまった神瞑に申し訳なさが大きかった」

『そんな…！お館様、私は』

「だけど、神瞑は私たちのために戦ってくれた、人のために、世のために、頑張ってくれた
私はね、神瞑…幸せになってほしい
痣者として25歳という若さで死んでしまった義勇や実弥、炭治郎、神瞑…まだまだ輝かしい未来が待っていたのに、本当に辛かった


…神瞑」

『…はい』

「…怪我だけは、死ぬことだけは…やめてくれるかな？
私は本当に神瞑の幸せを願っているよ」









彼女はもう十分重い荷物を背負ってきた
もう泣かなくていい、刀を持たなくていい時代になった



だけど、どうして神はこうも彼女に試練を与えるのだろうか









「私の可愛い子供…神瞑に多くの幸が降りかかりますように」

『…ありがとうございます…っ！』









どうか、私の可愛い子にたくさんの幸せと笑顔が降り注ぎますように









神瞑side






お館様は帰ってしまわれた






お館様にはたくさん、たくさん心配をさせてしまった









「さっきの人、すっげぇいい人だったな！」

『…うん。私の…ううん、私たちの大切なお館様だよ』









前世では自らの命を張って無惨を殺そうとしたお館様
私は…恥ずかしくも生き残ってしまった



できることなら、命を投げ打ってまで無惨を倒せばよかった

弟弟子に辛い思いをさせてしまった




目も、腕も、使い物にならないものにしてしまった









兄弟子も、腕を失ってしまった









「でもさ、優しげのある人で大丈夫だったの？」

『…………そんなに自らの首を差し出したいと言うのですね
そこに直ってください、斬首します』

「五条先生！謝って!! めちゃくちゃキレてるから!!」

「でもさ〜、謝るなら自分で戦えば」

『本当に刺しますよ？
お館様は重病で戦うことすら、刀を持つことすら出来なかった
怪我した隊士には毎日見舞いに行き、床に伏せるまで欠かさずに出向いていた
入隊した隊士のこと、死んでいった隊士の過去、名前、全てをお館様は記憶されていました』

「…………！」

「そ、そんな…」

『そんなこと、普通の人はできません
それでもあのお方を侮辱すると言うのなら、たとえあなたが最強だと言っても…殺します』

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