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7-2 ページ33

だけどな、恋雪
どれだけ善良に生きていたって、神様も仏様も結局、守ってはくださらないから
俺がお前を守らなければと思ったんだ










俺は幼い頃から恋雪に強くなって欲しくて、冷たく接していた時期があった









「情けは人のためならず
誰かのために何かしてもろくなことにならない」

『違うよ、兄さん
人のためにすることは巡り巡って自分のためになるって意味だよ
父さんが言ってたよ』

「人のために何かしようとして、死んだ人間の言うことなんてあてにならないじゃないか
お前が読んでいた本の作者も死んでるんだ」

『なんでそんなこと言うの?
父さんはその本を…』

「あんな本の言うことを間に受けるなんて馬鹿の極みだね」

『兄さん、ひどいよ…』

「本の影響がなけりゃ、お前だってまだまともになってたかもな」









俺が顔を見ずにそう言ってのけると、『そんな言い方するなよ!!』と、ほんのり涙を浮かべた恋雪がいた









『あんまりだよ!!』

「俺は事実しか言ってない
うるさいから大声出すな。鼓膜が痛い
恋雪の才能は“無能”の“無”
こんな会話意味がない。結局過去は変わらない
恋雪の才能は“無意味”の“無”」









俺はきつい言葉を言った
きつい人だった




記憶のない時の恋雪は昔の俺に似ていた気がする



きっと俺との暮らしは息が詰まるようだっただろう
俺は妹に嫌われていると思っていたし、俺を冷たい人だと思っていると思った







春頃に、人が訪ねてきた








墨火羅様のお内儀だ





あまりにと美しいので、妹は『白樺の木の精だ』と、そう言っていた









父も母も出払っていた時だし、俺はいつものように暴言を吐いてお内儀様を追い返した









『すごいよ!僕たち剣士になる素質があるって!
しかも1番になれる才能だって』

「知ったことじゃない。さっさと米を研げよ」

『ねぇ、剣士になろうよ
僕たちならきっと1番になれるよ』









ドンッ








ドンッ



ドンッドンッドンッドンッドンッ









大根を包丁で力強く輪切りにして行く









「お前に何ができるって言うんだよ
米も1人で炊けないような奴が剣士になる?1番になる?
バカも休み休み言えよ!! 本当にお前は父さんと母さんそっくりだな!!」

7-3→←7話 記憶の時間



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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年12月12日 20時

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