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「んじゃ、俺たちこっちだから」
『またね』
バレー部に手を振り兄さんと並んで歩いて帰る
買ったものを半分こにして持って家まで歩き、鍵を開けて中に入る
「ただいまー」
『ただいま』
ポンポンと脱ぎ捨てた靴を揃えて手を洗い、買ったものを冷蔵庫にしまっていく
兄さんは「先に挨拶してるぞ〜」と小さな部屋へ向かっていき、僕も急いでその部屋へ向かう
「早くしろよ」
『兄さんが早いんだよ』
チーーン、とリンを鳴らし2人で手を合わせて黙祷する
目の前にあるのは母さんと父さんの写真
「…………」
『…………』
パチリと目を開けてゆっくりと立ち上がり、静かに部屋を出ていく
母さんも父さんも、病気で逝ってしまったらしい
僕たちが11の時に
それからは親戚の家を点々としながら最後の親戚の家に置かせてもらったと
その人は偉大であり、僕たちはその人に憧れたと
その人も僕たちを平等に可愛がってくれたと
大切にしてくれたと
いつだって守ってくれた人だったと
僕はいつも兄さんと一緒にいた
辛い時も悲しい時も嬉しい時も楽しい時も
どうして僕が忘れっぽいの?と聞いた時、兄さんは気まずそうに少し苦しい顔になって、「お前は気にしなくていい」と言った
僕は何でそんな風に言うんだろうと疑問に思った
だって僕が忘れっぽいことで、兄さんに負担になるから
(僕は兄さんの重荷でしかない)
僕なりに努力はしてるけど、その努力が今まで成功したことはほとんどない
いや、ないに等しいだろう
どうして僕ができないのか、忘れっぽいのか
それはわからない
小さい頃の記憶なんて曖昧で霧がかかっていてぼんやりとしか覚えていない
いや、覚えていることすらあやふやでもある
僕は本当に兄さんの妹なのか
僕には本当に両親がいたのか
僕には本当に憧れる人がいたのか
僕には、わからないことだらけだった
ただわかるのは
僕は兄さんが大切で、兄さん以外いらないということだった
僕と瓜二つの顔
僕とは反対の性格
僕とは真逆の人
似ても似つかない僕ら双子は、本当に双子なのか
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2020年12月12日 20時