元殺し屋はヒーローになる14 (ページ34)

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真幌がそれを振り切るようになりふり構わずに駆け出した時、ナインに掴み上げられた

『真幌…ッ』

立ち上がれ、立て

死ぬ気で力を振り絞れ

思っていることと、体の反応が反対でゴフッと血を吐き出す

「お姉ちゃん！」

「ぐ……うう………く………」

抵抗しもがく真幌をとらえたナインを激痛が襲う
それに耐えながら執念でさらに怯える活真にナインは言った

「こ……こいつの命が惜しければ、こっちに来い」

「ダメ逃げて……！逃げて」

首元を掴まれながらも毅然とした真幌の首をさらに締め上げ始めたナイン

「叶えさせてくれ……！私の………願いを……！」

『そんな願い、知るか…よォ…ッ！』

ナインの体の傷が広がっていく
悪魔の懇願に活真が震えるのを見て、『行かなくていい』と手で制する

「……逃、げて……活……真……」

意識が遠のいていく真幌を救い出すために地面に指をつけ、力を込めると同時にダッと駆け出していく影が見えた

活真だ

「いやだあああ!!!」

『活真、ダメだ！行くな!!!』

「僕が守る！僕がお姉ちゃんを守るんだあ!!!」

大切な家族を救けたい、その気持ちだけで活真は動いたのだ

ナインは真幌を投げ捨て、活真に手を伸ばす

(早く…早く……!!!)

動かない体を叱咤するのと同時に『早く来い!!! バカデクがぁぁあぁぁ!!!』と叫び出したその時

「スマァッシュッ!!!」

活真にナインの指が触れる寸前
飛び込んできたのは緑谷だった

ナインの顔面に強烈な蹴りが入り、活真を掬い取るように地面を動かし自分の後ろに連れてくる

宙に放り出された真幌を見ると、飛び出してきた爆豪かっちゃんがキャッチした

「遅れてごめん！」

「デク兄ちゃん……」

「よく頑張ったね活真くん、すごいよ」

『なぁにがすごいだ！遅すぎるんだよ、ヒーロー』

「す、すみません」

ナインに対して身構えこちらを振り向く緑谷の頬を鷲掴みし、安堵と嬉しさに涙を流す活真の頭をぐしゃぐしゃと撫で回す