元殺し屋はヒーローになる14 (ページ19)

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崖下へと飛び降りたキメラは、山の中腹にある滝を見上げた

「チッ…実弾使ってきやがった」

やっと目論見に気づいたキメラがそう呟いたとき、長い舌が滝壺からキメラの足元に伸びた

瞬時にからみつき、キメラを引っ張り水中へと引き摺り込む

「うおっ!!」

蛙吸はキメラをカエル泳ぎで滝の下まで引っ張ってくると、舌を離し地上へ上がっていった

キメラは激しい水流の中で体制を立て直そうとするが、突然水が凍り始め慌てるキメラを氷があっという間に飲み込む

氷結はまたたくまに昇り、滝全体をも凍らせた

「よっし！」

「作戦通り」

キメラが滝壺に閉じ込められたのを見て、喜ぶ切島と飯田に自らの炎熱で体を温めていた轟が、「いや」と曇る

緊張が走る轟たちの前で氷にヒビが入り砕けた

「冷てーじゃねーかよ、おい」

「また会ったな」

「ハッ、やめとけ。今日の俺は本気だぜ
…あのチビはいないんだな」

「潮田はここにはいない。残念だったな」

昨日、ビーチでキメラに暗殺を仕掛けた渚は2代目の「死神」から受けたクラップスタナーのおかげで、相手の波長が見えるようになっていた

そして、キメラの波長に合わせてクラップスタナーをし、意識を刈り取ろうとしたのだが、寸前のところで逃げられてしまったのだ

キメラは服に忍ばせていた葉巻をケースから取り出し、口から出した炎で火をつけながら目の前のヒーローたちを睨んだ

「俺らだって違う」

「島民が避難した今、全力で」

「お前を止める」

気合のみなぎる飯田の声に切島たちも呼応する

「上等だ」

キメラがニヤリと笑った

青子side

ナインに対抗している麗日ちゃんと瀬呂だったが、爪の攻撃であしらわれ続けていた

ナインは気負うこともなくこちらへと向かってくる

「クソ！足止めすらできねえ！」

「くっ！これなら！」

麗日ちゃんは、“個性”を使いすぎると気分が悪くなる
せりあがってくる吐き気を抑えながら、肉球を合わせた

『麗日ちゃん…！』