青葉城西の1人のAssassin (ページ19)

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作ったはいいけど、ミルクティーは仕方ないから二つのマグカップを持って岩ちゃんとカルマくんにお礼を言いに行こうということで、磯貝くんに教えてもらった部屋割りの紙通りに向かうと、鼻につくような匂いがした

しかもそれは昼間に匂ったものと同じもの

『ゔ…ゔぇっ…』

「そーそー、全部吐いていいから」

「都笑、ゆっくりでいいから」

胸元を押さえ込み、桶か何かに顔を突っ込み、げェげェと吐瀉物を吐き出す都笑ちゃんの横で背中をさすっているカルマくんと、力強く手を握り励ます男の子くん

「おい…」

岩ちゃんの声に男の子くんが気付き、「カルマ」とカルマくんに声をかければ、彼はこちらを振り向き「あー…」と目を泳がせた

「あのさ、見せ物じゃないんだけど…寺坂って奴に新しい桶と消毒液、タオルと着替え持ってきてって伝えてくんない？
いなかったら、磯貝でも誰でもいいから」

明らかに威圧する瞳を向けられ、俺と岩ちゃんは無言で頷いてミルクティーを部屋の入り口近くに置いて寺坂と呼ばれる人物を探しに廊下を走った

「まっつん、寺坂って子知らない？」

「ああ、そいつなら今風呂掃除し終わってあそこにいるぞ」

まっつんが指さした方向にはタオルを首から下げているがたいのいい男の子がいた

「寺坂くん！」

「あ？」

「カルマくんが桶とタオルと消毒液持ってきてって」

「…チッ、あの野郎…また使いっ走りか」

「おいおい、雪霧最近やりすぎだろ」

「昼間も吐いたって言ってたしな」

見た目からしてヤンキーにしか見えないのに、友達重いなその発言に、いい子すぎる判定が下った

「おい村松、原に伝えて粥作ってもらえ」

「おう」

「寺坂、どーするよ」

「どーするも何も、こーいうのは磯貝が適材だろ
俺たちは桶と消毒液とタオル用意するぞ」

「おっし。律、磯貝に雪霧が吐いたって言ってくれ」

《了解しました》

テキパキと随分と慣れた手つきで作業する彼らに、「慣れてるんだな」と岩ちゃんが言った

「慣れてるもクソもねぇよ
あの馬鹿…1回死のうとしたぐらいだからな
そりゃ、いやでも慣れるわ」