21話 11月6日の事件 ページ5
「さすが、本庁の白バイのキミ…」
「どんなあだ名だよ」
「松田、乗っていくんだろ?」
「あぁ」
「じゃあな、松田」
「おう、今度会ったら酒飲もうぜ」
「うん」
車に乗り込んだ松田を確認してからエンジンをかけて車を走らせる
「渋谷駅で降ろしてくれ。あとは1人で帰るから」
「悪いが送るのは駅の手前までだ」
「そういや、諸伏と同じく人目についちゃあいけねぇ立場だったな」
渋谷駅に向かう中、雑居ビルが並ぶ交差点の信号で止まる
助手席に座る松田を見ると、その窓の奥を見た。雑居ビルの前にパトカーが一台停まっている上にさっき別れたはずの佐々木がいた
2名の警察官が通行人が何やら言い争っているのが見え、佐々木はそれを宥めながら事情を聞いているようだった
「どうやら仕事のようだな、刑事さん」
「ったく、なんで日だ!」
「よかったじゃないか。愛しの白バイ隊員がいるんだぞ?」
「おい、お前までそんなこと言うのかよ」
松田がほんのり頬を赤らめてシートベルトを外して車を降りる。近くに車を停めて松田の後を追いかけると、「おい、佐々木」と松田が相変わらずのぶっきらぼうな言い方で佐々木に声をかけていた
松田は身分証を提示すると、それを確認した警官が敬礼した
「どうかしたのか?」
『あぁ…私の無線に、この雑居ビルに誰かが入り込んで暴れていると通報があったんだ。それで、近くにいたから』
「お前、なんでもやるのか」
『仕方ないだろう…近くを通りかかったんだから』
胸の前で腕を組んで松田にジトリと睨む佐々木に「まあまあ」と僕が宥めに入る
『それで、どうするか悩んでいたところだ。見たところ、6階あたりに窓ガラスが割れているのが見える』
佐々木の言う通り、6階あたりに窓ガラスが割れている上に入り口には「侵入禁止」と書かれたバリケードがある。そのバリケードが一部壊れている
「ただ所有者の許可もなく立ち入るのもどうかと思い…なぁ?」
『と、言うわけなんだが…まあ、お前たちには関係ないだろうな』
「フン、まぁな」
松田は佐々木の言葉通りに警官を押し退けて中に入っていく
「いいんですか!?」
「大丈夫、任せて。佐々木、頼む」
『全く…始末書はお前らだからな』
「てめェも書け」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年5月4日 21時