元殺し屋はヒーローになる28 (ページ18)

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とある海が目の前に広がる倉庫街の一角でヒーロー達が集まっていた
緑谷と青子を除いたヒーローたち、シンリンカムイ、エッジショット、Mt.レディ、ホークス、ジーニスト、そしてエンデヴァーがいた

「失意と絶望に打ちひしがれた人間が、今際の際に足掻いているというわけか」

「エンデヴァー、そろそろ賭けに出るとかじゃないか？
一部の者だけじゃなく、全ての残存ヒーローと、「ワン・フォー・オール(緑谷)」と「オーバーホール(夜神月)」の秘密を共有し、包括的巨大捜査網を敷くべきだ」

「レディ・ナガンの件で明らかになったのは、今後連合捜索の負荷がより緑谷くんと夜神月さんに集中するということです」

「警察も眼前の取り締まりに手一杯。…目撃情報も依然ゼロ…ファンシーズのサイドキック、夢魔とミストは重体により意識不明の昏睡状態…
頼みの綱が疲弊し切る前にサポート体制を…」

ヒーローたちの提案にエンデヴァーは静かに口を開いた

「一昨日、デステゴロが退職したろう」

エンデヴァーの言葉に、Mt.レディの脳裏に浮かぶのは、コスチュームを脱ぐデステゴロの姿

“一服する間もなく奔走し続け…返ってくるのは八つ当たりと懐疑の声
ああ、わかってる。応援も届いてるさ。でもな、1の罵声が10の声援に勝るんだ。…こんなの初めてだ
…自分は違うと思ってた。きっとみんなもそうだったんだ
どうやら俺はヒーローじゃなく、人間だったみてぇだ”

「先の戦いでは、超常解放戦線のスパイヒーローどもを率先し縛り上げた、気骨あるヒーローだったはずだ」

「明日、誰の糸が切れても不思議じゃない。現に今もコスチュームを脱ぐ者は後を絶たない」

「マスコミが段々とデクとレモントに近付いている。辞めたヒーローから情報が漏れ出しているんだ
秩序が失われ、力が跋扈(ばっこ)するこの今、ワン・フォー・オールとオーバーホールの実態が世に暴かれれば、あらゆる「負の連鎖」がデクとレモントに集約されてしまう」

これ以上、重荷を背負わせてはいけないから

「いくらでも悪い予想ができちゃいます。だって現実に既に起きてる」

「ちょっと思うんですけど…オール・フォー・ワンは公表しないのかしら。緑谷くんと夜神月さんのこと…ワン・フォー・オールとオーバーホールのこと…真ッ先にやりそうだけど」