元殺し屋はヒーローになる28 (ページ16)

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『私は』

「破無」

『治崎破無じゃない』

「！」

『死穢八斎會の若頭の妹じゃない』

「破無、お前は俺の」

『私は！私を救ってくれたファンシーズの妹、夜神月青子だ!!!』

過去も全て捨てて生きれたらどれだけ楽だろう

だけど私にはそれができない

「青子ちゃん…」

『もう会わない、もう二度と破無なんて名前で呼ばせない…私は破無じゃない、みんなが好きだと言ってくれた青子だ！』

(青子…お前は、本当に…強くなった)

過去も罪も全て持って、歩いていく

それが私にできる唯一の償いだから

「破無…破無……」

『……あんな本のせいで、お兄ちゃんは変わってしまった…あんな本さえなければ、真っ当な道を歩いていたかもしれない』

幼い頃に兄が読んでいたあの本さえなければ、兄の未来は少しでも変わっていた気がする

…いや、どのみちこうなっていたのかもしれない

「破無…許してくれ、こうしないとお前は…あいつら(・・・・)に捕まってた…殺されてた…もっとひどいことをされていた」

「あいつら？」

『……お兄ちゃん？』

「破無…あぁ…破無…俺の妹…誰にも渡さない…誰にも、お前だけは…あいつら(・・・・)には渡さない」

(あいつら？)

「治崎、あいつらって…オール・フォー・ワンか？」

「違う!!!」

「「!?」」

「破無を、守れ……!! 俺じゃ無理だ。破無、あんな奴らに…あいつらに」

『お兄ちゃん、話が見えない』

「殺される!!!」

狂言と言ってしまえば終わってしまうような兄のその発言を、私はこれから一生…見えない闇として抱えていくことになった

「少年!! 少女!! 無事か!?」

『オールマイト』

フロントガラスにヒビが入っているエルクレスを見て何かあったのだと察しはついたが、オールマイト自身が無傷であった

「レディ・ナガンと治崎廻、確保だ！警察に連絡！救急に連れていく」

「緑谷くんと青子ちゃんもひどい怪我をしてる！一緒に」

最後に見せたあの素敵な笑顔が脳裏にちらついて鮮明に焼き付いてる
そんな綺麗で輝いていたレディ・ナガンを

『オール・フォー・ワン…!! 絶対に、ぶっ殺してやる…!!』

人の心を、どこまで笑えば気が済むんだ