元殺し屋はヒーローになる28 (ページ48)

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「校長は“個性”道徳教育に多大な貢献をし、世界的偉人(・)となられた。今なお、ご尽力されているのだ
青子は…世界中の株を動かしているからな。通帳や口座もいくつも持っている。いわば、世界を動かしてるのは青子と言っても過言ではないだろう」

「ほえぇ」

「なんつー奴と同期なんだよ、俺たち」

「そりゃ、確かに頭回るけど」

「…………彼女はそうしなきゃならなかったのさ」

一度、殺せんせーに相談したことがあった
どうすれば良いのかと。すると彼はすぐに応えた。青子に任せてみてはどうかと

もちろん、彼の言う通りに彼女に相談すればサクサクと全てが丸く収まってしまった
セキュリティについても、その際に生じるバグなども、全て彼女は予期していたかのごとく考え計算し、導入してきた

「お金がなければできないこともたくさんある。それに備えていくつものことをこなしてきたんだろうね
不理解、不寛容、いずれも“あと一歩”
近寄ることのできなかった人々の歩み
動き、ひしめき合う中、その“一歩”がいかに困難な道であるか…
ともかく2人がここにいていい理由も理屈もある
キミ達はただ全力でぶつかっていけばいい。彼女の全力をそれ以上でぶつかっていけばね」

「「はい！」」

「……青子くんはね、そうしなきゃいけなかった…
こうしてキミたちを裏切った形で出て行ったこと、キミ達に正体を隠していたことを、キミたちは裏切られたと思ってもおかしくないだろう
だけど、私はそうは思わないんだよ」

誰よりも怖がりだから

殺せんせーにそう聞いたから

「キミ達を大切な友人として認識している彼女だから、自分のことを知られたくなかった
ヤクザの妹で、やりたくなかったことをして、ヒーローとして顔を向けることができなかった彼女が、自分の立場と戦いながらこうしてキミ達とヒーローという高みを目指せたことはきっと、彼女にとって素晴らしい宝物になる
それをこれからも、彼女に見せてあげてほしい…そして、彼女と共にヒーローになってほしい」

青子がどれほど自分を嫌おうと、キミ達だけは嫌いにならないでほしいと
根津は思いを込めて言葉にした

「どれだけあいつが自分を嫌っても、俺は嫌わない
あいつがしんどいことも、辛いことも、全部俺が背負う。俺は青子を」

轟の言葉を聞いて、根津は「熱烈な告白だね」と微笑んだ