元殺し屋はヒーローになる13 (ページ14)

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崖の下に落ちた装甲車を覗く翼が見え、僕達は「来てたんだ」と呟いた

「来ていたのか……少しは手伝ったらどうだ、ホークス」

「今来たばっかりですって、エンデヴァーさん」

飄々としたいつもの顔で笑いながら振り返ったのは、ウィングヒーロー・ホークスだ

夜の暗がりなので暗く見える翼は、エンデヴァーの炎で本来の色を見せた

「フン！連合の連中は？」

「全員、トゥワイスの「複製」でしたよ
それにしても、あの『ヴィランズランド』の人間が奇襲するなんて…」

「あいつらもまとめて捕まえるまでだ」

ボロボロの座席にドロリとした液体がかろうじて残っていたらしい

「おい、あの後部ハッチのやつ」

「！」

歪んでいるせいで金属の軋む嫌な音が聞こえた

「なんだ、これは？」

「生命維持装置……ですかね？
新型の「脳無」を輸送していたとか……」

「なんだと!?」

「……連合は一体………なにを運んで…？
そして、ヴィランズランドはなんでこの中身を欲しがった…？」

ガサガサとその場から離れると、「遅いぞ、お前たち」と、ワナタ先輩が現れた

「『荷物の中身』がお待ちかねだ」

「結局、ワナタ先輩か」

「はははっ！よく頑張ったな。後でケーキ作ってやるよ」

「俺、イチゴ！」

「僕はマロンで」

「好きなだけな」

「はいはーい、ケーキの話はあとね！
「彼」が待ちくたびれてるよ」

「おっと」

二台の車のライト前、黒いダイバースーツのようなものを身にまとい、両肩には紫色に光る液体の入ったボトルがセットされたもの

「待ちくたびれぜ、『ナイン』」

「そのかいはあった。実験は成功した」

「…………」

その言葉に獣のような容貌をした男…キメラが堪えきれずに笑みを浮かべた

女の方はスライ

もう1人は包帯で全身を巻いたマミー

「ご協力感謝する」

「お礼はロゼリアに伝えるといい…。僕達は彼女の指示に従っただけだかね」

「そのロゼリアはどこにいるんだ？」

「現在は“別件”で席を外していてね…ここにはいないよ
会いたいと言うのなら、また後日にしてほしい
それでは僕達はこれで失礼するよ」

寮長が乗り込んだ車に乗り込み、不穏な風が吹く森から去った