元殺し屋はヒーローになる13 (ページ11)

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94話夜の攻防戦ページ11

震えるこの拳を強く握りしめ、「まだだ」と体に染み込ませる

まだ奥に後ろ盾がいる

全貌突き止め、一刻も早くヒーローに伝えよう

さァ、ここからだ

遅れを取れば、日本が終わる

『…………は？』

「という話だ…ったく、面倒なこと持ってきやがって」

『ちょ、待って？それホント？』

「てめーんとこにきた依頼だ。さっさと処理しやがれ」

『はぁ？私に来たからって、これには私じゃなく、ライアンが行くってことになってるんだから、さっさとしてよね』

「グルルル……」

『唸ったところで怖くもなんともないからさっさとしてよね。私だって暇じゃない
私の代わりにやってくれるんならいいけどね』

「…チッ」

にしても…これはちょっと大変なことになったかも

でも、羽休めと考えればいいってことだ

ーある日の夜ー

「ぶぇっくしゅんっ!!」

「ちょっ、くしゃみする時は手で抑えろよな!!」

「わ、悪い…」

「ったく…珍しく、俺たちに回された仕事だっていうんだからちゃーんとやらないと、ロゼリアに何されるかわかんねーんだぞ」

「わかってるよ。それよりも、アカロは大丈夫なのか？そんな薄着で」

「舐めんなよ？カイロある」

「全く…」

夜の中、凍えた山は静かで、そして寒い

「おっ、来たぜ」

「やっとだな」

雪が舞う冬の空気を数台の車が切り裂いているのが見え、どんどん車が近づくにつれそれははっきりと見える

装甲車が無遠慮に走っていて、まるで逃げ惑う動物のように走っている

「ヒュー！ただの車にヒーローのロックロック！
その装甲車の運転手は敵連合のスピナー！
やっぱ、生で見ると迫力が違うな～」

「アカロ、馬鹿なこと言ってないで行くぞ」

「リョーカイ。んじゃヴァモ、ヘマすんなよ」

「こっちのセリフだ」

スピナーがハンドルを切って、ロックロック達の車を山崩れ防止の法面壁に押し付けているのが見え、アカロは「ヒャッホー!!」と、ヒーロー達の車を安全な場所にまで連れて行った

「お、お前ら…!?」

「コレは、貸しになるぜ？ヒーロー」

「アカロ!!」

「はいはい、わかってる…よっー！」