元殺し屋はヒーローになる11 (ページ48)

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「………………」

『音楽は人の心を救うもんだって、昔聞いたことある
私は音楽なんてこれっぽっちも興味も何にもないけどさ…大好きな人が奏でる音は好きだし、友達の趣味を否定するようなことはしない

むしろ、私の趣味よりも素敵な趣味でヒーローに根差してるんじゃない？』

「夜神月の趣味は、ヒーロー活動に根差した趣味なんじゃ」

『バカ言うのもやめて？
誰が喧嘩好きで挑発が得意な人間が、どうヒーロー活動に根差した趣味持ってるわけ？』

「う…うん」

耳郎ちゃんは少し目を閉じた後、「ここまで言われて、やらないのも…ロックじゃないよね…」と、自分が好きな趣味で文化祭をすることに頷いた

「じゃあA組の出し物は、生演奏とダンスでパリピ空間の提供だ!!」

「青子、少しいいか？」

『…？』

兄さんに呼ばれて、みんなの輪から少し離れた場所で『どうしたの？』と小首を傾げると「悪かったな」と罰の悪そうな顔になる兄さん達

「お前が頑張ってる時、一緒に戦ってやれなかったからさ」

『…お兄ちゃんのこと？』

「………ああ」

『…気にしなくていい。結果的にお兄ちゃんはタルタロスへ、エリちゃんは救出できた
もういいんだよ。気にしなくても』

そう伝えれば、兄さん達は泣きそうな顔で笑っていた

「それと、これはイレイザーから聞いたんだ…。お前と緑谷、通形に会いたいってな」

『エリちゃん？』

「ああ。要望を口にしたのは、入院生活始まって以来、初めてのことだって。明日、会いに行ってやれ」

『…うん』

悩みどころだと思った

事件を思い起こさせるモノ、人、それらは遠ざけた方がいいと思った

でも、エリちゃんの額にあるコブはもう小さくなってるし、暴走は今の段階では心配はいらない

暴走するほどのエネルギーは持っていない

でも、会いに行っていいのか？

手を伸ばしたところで、私の“個性”はお兄ちゃんと同じだ

私のせいで、エリちゃんは長い間あの人に苦しめられた

痛めつけられた

『どうすればいいのか、わかんなくなってきた…』