元殺し屋はヒーローになる11 (ページ47)

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「芦戸のダンス指導は確かだ!! いいか、ダンスとはリズムであり、“音”だ!! 客は極上の音にノルんだ！
このクラスで、音楽ができるヤツ!!!」

『悪ノリしない!!』

「ぶっ!!!」

スパァン、とスリッパで叩くと「何するんだよ、青子!!」と頭を押さえて涙目になる兄が振り返ってきた

『何しにきた!! 今はアメリカで重大犯罪者検挙の真っ最中でしょ…！依頼が来たからと言って簡単に戻ってきちゃいけないでしょうが』

「ああ、そのことだが…隼人と尚哉が
『青子の迷惑にならないように』って、伝言を残してきた」

『すでに迷惑だよ、帰りやがれクソ兄貴』

どうぞお帰りください。とドアに指をさせば、「まあ、いいじゃねぇか？」と天城兄さんの頭に腕を置いたのは士郎兄さん

「音楽っていやあ、耳郎がいいとこだろ？」

「え」

「耳郎ちゃんの楽器で生演奏!!」

「ちょっと待ってよ」

「なんでェ!? 耳郎ちゃん、演奏も教えるのもすっごく上手だし、音楽してる時がとっても楽しそうだよ！」

葉隠ちゃんに言われて、黙った耳郎ちゃんはもごもごと口を動かした後、「芦戸とさ、みんなはさ」と小さく口を動かした

「ちゃんとヒーロー活動に根差した趣味じゃんね？
ウチのは本当ただの趣味だし…正直、表立って自慢できるもんじゃないつーか…」

「それは違うぞ、耳郎」

「！」

ふんわりと優しい笑顔の兄さんが言うと、耳郎ちゃんは「えっ…」と声を漏らした

「俺も最初はヒーローには興味なかった。でも、ここにいる俺の大事な家族が俺の“個性”の「音」を愛してくれた
俺の音は音楽でも奏でてるド派手な音だって言ってくれた」

『！』

ポンポン、と頭を撫でられる

「人を笑顔にできるかもしれない技、いや…人を笑顔にして安心させれる技
人に言えないような趣味でもなんでもねぇよ
お前のその趣味は、笑われるようなもんでも恥ずかしがるようなもんでもなんでもねぇ

ド派手に胸張っていやがれ!! お前のその趣味は、誰にも負けたりなんかしねぇ、すっげぇもんだってな!!!」

天城兄さんが耳郎ちゃんの頭を撫でれば、恥ずかしいのかむずむずとしている

「ヒーロー活動に根差した趣味なんじゃねぇのか？」

「自信持てよ、耳郎！」