名探偵と先輩 (ページ23)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:12,965 hit

6-4 ページ23

さすがに蘭も怒って帰ってしまったのではないかと思ったけど、もしかしたらと思って念のために待ち合わせした美術館に向かった

「誰…？」

真っ暗な門の前から蘭の声が聞こえてきた途端、空の雲が流れて月が顔出し始めた

「悪い、蘭！実はオレたち、すっかり」

『ごめ』

「よかった。新一と姫乃の身になにか起こったんじゃないかって心配してたんだ」

2人「え…」

『待ちぼうけ食らったのに怒らなくてさ…それどころか心配までして…』

あの時からずっと、蘭は優しかった

「そん時やろ。あの子のこと、ただの幼馴染や思てたんが、変わったんは！」

「バ、バーロォ！んなんじゃねーよ」

『ははは』

照れながら否定する新一が窓の外を見下ろした。ベランダで料理の乗った座卓を囲んで夜桜を楽しんでいる蘭たちがいる

「ほな、平野はどないやねん？」

『…え？』

「工藤が姉ちゃんやとしたら、平野はどないや？」

『…って、言われても…』

服部に言われてコップに入った飲み物を口に含む

好きな人…

“好き”

『っ!!』

「ど、どないした？」

『な、なんでもない…』

電車の中で、私寝てたのに、先輩はあんなことを言った

なんで、あんなこと言ったんだろ…

(あーーーもーーーっ！わかんない…)

「？」

「おい、佐々木。顔がうぜぇ」

「ひどい」

火照る顔を夜風で冷まそうとしていると「きゃーーーーっ！」という甲高い声に驚き、私と新一、服部は廊下を振り返った

『なに、今の悲鳴』

「行くで!!」

「あぁ！」

『えっ、ちょっと!!』

「え、姫乃ちゃん!?」

座敷を飛び出していく2人を追いかけていくと階段を降りていく
「だ、誰か〜！」という女将さんの声の方に行くと、納戸の前で女将さんが震えていた

「どうしました？」

「さ、桜はんが…！」

納戸を指差した女将さんにつられて、納戸を見るとそこには首から血を流して仰向けに倒れている桜さんがいた

「さ、桜さん!?」

「誰も中に入らないように！」

「姫乃ちゃん、なにがあっ」

『来るな!! 蘭！警察に電話だ!!』

「う、うん！」

『お兄ちゃん、先輩と一緒に座敷で待ってて！園子と和葉ちゃんも』

「う、うん」

「あ、あぁ…」