“元”杉沢第三高校一年担任教諭は泰然自若でありたい。（3）【呪術廻戦】

100.不安要素 ページ37

特級クラスが最低2体以上、しかも徒党を組んでいる。考えたくもない事実だが五条先生はどこか楽しそうに笑っていた。


「悠仁……というか皆には、アレに勝てる位強くなって欲しいんだよね」

『アレに……』

「アレにかぁ……」


高すぎるハードルを投げかけられ、私たちの言葉は重なった。


「目標は具体的な方が良いでしょ？いやー連れてきてよかった〜」

「いや、何がなんだか分かんなかったんだけど……マジかこの人」


私はもとよりスルースキルの高さに定評のある虎杖くんですら、付いていけなくなって抗弁を放棄し始めている。


「目標を設定したら後はひたすら駆け上がるだけ。ちょっと予定を早めてこれから一月、映画見て僕と戦ってを繰り返す」

「先生と！？ 1ヶ月後、俺生きてるかなぁ……」

『……くれぐれも力加減を誤らないで下さいね』


今日の内だけでも既に私達は下手したら死んでた局面に何回か遭ってるんだが。


「その後は実践、重めの任務をいくつかこなしてもらう。基礎とその応用、しっかり身につけて交流会でお披露目といこうか！」


消極さと困惑を打ち消すよう前向きな提唱をした五条先生に、虎杖くんは勢いよく挙手する。


「ハイ、先生！」

「ハイ、ゆーじくん！」


対する側もビシッと指名する。


「交流会って………ナニ？」

「あれ、言ってなかったっけ？」

『頼みますよ五条先生……』


只今不安要素しか無いんだが、これ本当にこの方に任せて大丈夫か？

更に不安要素といえば、私にはもう一つ思い当たる事がある。


『あと気になってたんですけど、メッセージにもあった夜蛾学長との打ち合わせはもう終わったんですか？』

「あ。やべ、忘れてた」

『……虎杖くんとの応酬、どちらが食い違っていたのか今ので判明した訳ですが、ご弁解のほどは』

「…………てへ♡」

『帰りましょうか』

「そーだな………」


可愛げに舌を出す五条先生に、もう警告や訓戒は無意味だと早くも諦める事にする。

とりあえず向こうで面談に待たされているであろう伊地知さんが一番心配だった為、その後の帰還は少し急ぎで行ってもらった。

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