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追憶 13.der letzte Mord ページ21

俺は丸腰相手とタカを括る目の前の男に気づかれないように、残された体力を振り絞って体勢を立て直した。

1秒後、地面を思い切り蹴って男の懐に飛びかかり、弾丸のお返しに左耳を噛みちぎってやった。同じ肉でもミートサンドとは比べ物にならない程に味は不味くて、ぺっと一口分の肉塊を吐き出す。


男は痛みで尚のこと喧しく叫び続けていた。(そんなもん)ひとつで勝った気になってるから寝首かかれんだよ。


喋れない口の代わりに、男を黙らせたくて靴の踵を顔面にぶち込んだ。ごしゃ、ぐしゃ、と骨と肉が潰れる音が響く。完全に男から生の気配が無くなるまで、足を振り下ろす以外のことを考える暇はなかった。

意外と呆気ない男の最期を確認する気力もなく、血濡れの地面に再び腰を預けた。



(痛……あー、死ぬ。つかコイツに殺されて死ぬとか最悪だな)



今気づいた。用心棒の身内殺しも立派な御法度じゃん。万一生き延びても俺どっちにしろ追手の連中に殺されんじゃん。

少し考えて、男が死後まで律儀に握りしめていた銃を指から抜き取る。何本かは邪魔だったので踏みつけて逆方向に折り曲げた。

男より俺の方が傷は重いだろうから、持ってあと2〜3分。ま、それだけあれば十分だ。


俺はこめかみに銃を向けると、何も考えずに引き金を引いた。覚悟していた痛みは感じなかった。左目が最後に捉えたのは、吹き飛んだ右の眼球がコロコロと転がっていく光景だった。


意識は一瞬で途切れる。ざまあみろ。俺は奴に殺されたのではなく、自分の手で生を終えたのだ。

あんなに死にたくなかったのに、死が確定していると妙なこだわりが出る事に自分でも驚いていた。

血で滑り落ちた拳銃が硬い地面に叩きつけられる。もうその音も耳は捉えなかった。




(……………あー……)


(そういやあのガキ、靴履いてなかったな……)

追憶 last.unsinniges Testament→←追憶 12.schlimmstes Ende



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そす(プロフ) - ハデスさん» 数あるブルロ作品の中から拙作を読んでくださってありがとうございます!! 私も時々読み返すくらいカイザーとのやり取りがお気に入りです! (8月25日 16時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
ハデス - 最高です!お疲れ様でした!個人的に評価10です!カイザーと男主のかけあいが最高でした! (8月25日 16時) (レス) id: 1608cd6270 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - いちごくりーむぱんさん» コメントありがとうございます! 最高の言葉が最高に身に沁みます! こちらこそ感謝です! (7月11日 23時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
いちごくりーむぱん - そすさんイベント参加ありがとうございました!遅くなり申しわけございません…!最高でした!私はそすさんと違って語彙力が無いのでwこんぐらいしか言えませんが凄い良かったです! 素敵な作品有り難う御座いました! (7月11日 22時) (レス) @page1 id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@多忙さん» コメントありがとうございます! こちらこそご愛読いただき感謝です! (6月3日 8時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そす | 作成日時:2023年3月25日 9時

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