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追憶 3.sterben ページ11

己と同じく、異様に骨の浮いた男だった。
だがそれに加えて、栄養不足のせいか歯があちこち欠けている。手も服も返り血に染まりきっていて、身も心も文字通り怪物のような容貌をしていた。


年齢を片手で数えられるようなガキだった頃、食うものに困って木べらを口寂しさ故に噛んだことは何度かある。

だからと言って、いくら肉を食べる機会に恵まれていないとしても、犬にすら食指が動くようでは人生を諦めた方が良いと思っていた。


そんな馬鹿げた死生観を持つ俺は当然、一目で男を心の底から軽蔑した。

同時に拒絶反応から思わず悲鳴を上げてしまいそうになったが、手首の関節を口に含ませて無理やり声を押し殺した。


しかし、運悪く俺の足はふらついて路地に腰を抜かしてしまう。なんとも情けない。ショッキングも度を過ぎると人一人の気をやりかけるのか。

煙が目にしみる。ひどい臭いが鼻につく。男がこちらに気づいた。ああ、死ぬかも。なんとなく分かった。しかしここに来てもまだ、俺は微塵も死にたいとは思えなかった。


男は何やら言葉を発しているようだった。文字は読めずとも言葉は通じるのだが、何を言っているのかさっぱり分からない。

そんな動揺をよそに男は腰を抜かした俺に乗り掛かると、右手に持ったナイフで俺のボロいシャツを引き裂いた。

元々雨で張り付いていたので、素肌にも縦一直線の傷がつき、やっと反射的な悲鳴が喉から出てくる。

ナイフは血で真っ黒だった、あの犬を解体するのに用いたのだろうか。


男はニタニタと笑うと、ナイフを自分が元いた所へと適当に放り投げ、大人気なく俺の首を掴んで地面に押しつけた。

気道が閉まり一瞬で意識が遠のく。やはり口封じか戯れのために殺されるらしい。


そしてきっと、死んだ後にはあの痩せた犬の隣に焚べられて、数時間後には奴の胃袋で溶かされのだろう。


___嫌だ。

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そす(プロフ) - ハデスさん» 数あるブルロ作品の中から拙作を読んでくださってありがとうございます!! 私も時々読み返すくらいカイザーとのやり取りがお気に入りです! (8月25日 16時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
ハデス - 最高です!お疲れ様でした!個人的に評価10です!カイザーと男主のかけあいが最高でした! (8月25日 16時) (レス) id: 1608cd6270 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - いちごくりーむぱんさん» コメントありがとうございます! 最高の言葉が最高に身に沁みます! こちらこそ感謝です! (7月11日 23時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
いちごくりーむぱん - そすさんイベント参加ありがとうございました!遅くなり申しわけございません…!最高でした!私はそすさんと違って語彙力が無いのでwこんぐらいしか言えませんが凄い良かったです! 素敵な作品有り難う御座いました! (7月11日 22時) (レス) @page1 id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@多忙さん» コメントありがとうございます! こちらこそご愛読いただき感謝です! (6月3日 8時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そす | 作成日時:2023年3月25日 9時

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