第28話 兄妹 ページ29
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(！！………来た……っ！)
警戒を強めた事で階段の下への注意が増し、その結果、暗闇でぎらつく獣の双眼に似た光と目が合った。
瞬間、呪いは古びた床がひしゃげる程の踏み込みでこちらに襲いかかる。
鋭利な牙と爪先が肌に触れるのを避けて、しゃがみ込み突撃を回避した。相手の攻撃の一つ一つが人間の打撃と比較にならない威力であると、勘が叫んでいる。
脇を締めて柄を握り直し、刀の分伸びたリーチを最大限に活用するよう、全身を使って刃を振るった。
次の攻撃に備えなければならないのに、強張りがほぐれず一瞬固まってしまう。それでも目は閉じちゃダメだ、と根性で瞼をこじ開けた。
『っ………！』
《A、なーいす！》
お姉ちゃんの明るい声が聞こえてきて、恐る恐る、迷いつつも背後を見やり、ぞくっと粟肌が立つ。
《スゴイね、まっぷたつだよ》
この状況を表すのにそれ以上適した言葉も無いように思えるほど、呪霊の身体は少しの歪みも無く、いっそ綺麗な切断面で二つに分たれていた。
その切り口から炎が燃えた後みたいに、煙のような、煤のような何かを撒き散らしながら獣の呪いは消えていく。
我ながら恐ろしい威力だ。いや、呪具のせいか？ と冷や汗をかきながらしみじみと刀を見た。
────ガタン
刀身を掲げた瞬間、ホラーゲーム実写版のようにクローゼットの近くから何かが動いた音がして、私はぎょっと肩を跳ねさせた。
驚いたが油断はできない。今度は刀を前方へと掲げながら、慎重に慎重に、物音のした方へゆっくりと近づく。
『…あ………子供？』
クローゼットの付近、そこに居たのは恐ろしい呪いなどではなく、あどけない二人の子供だった。
二人は座り込んでいて、少し大きな男の子が自分よりも身体の小さい女の子を庇うように抱き締めている。
おそらく兄妹だろう、面つきが少し似ている気がする。彼らは刃物を向ける私に酷く怯えたように、目に一杯の涙を溜めて肩をぶるぶると震わせていた。
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そす(プロフ) - ツバメさん» コメント感謝です。最近メンタルがガタガタだったので嬉しいです！ (2021年8月29日 19時) (
レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いです更新頑張って下さい (2021年8月29日 18時) (レス) id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 鼓舞の言葉が胸に染み渡りました。沢山の応援コメントに感謝の気持ちでいっぱいです、ありがとうございます。 (2021年8月26日 9時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
- 投稿、読みました。私は作者様のつくる作品が大好きです！！いつまでも更新待ちます、体を壊さないように気をつけてください！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: 4299f9747a (このIDを非表示/違反報告)
桜餅 - こんな神作品に低評価なんて信じられません…。落ち込むとは思いますが、気にしすぎないようにしてください。作者様は神です( ・∀・)ｂ！！ 深夜にすみませんm(__)m (2021年8月26日 0時) (レス) id: 5f499357d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そす
| 作成日時：2021年8月21日 15時
