第3話 嫌悪感 ページ3
・
《あ！ A、A。この道は通っちゃだめだよ。嫌な感じがするから、遠回りでも広い方に出て》
(また？ 今日は多いね)
《テスト期間だったからかなぁ》
(？)
考え事をしながら足を進めれば、あっという間に自宅の扉が目の前。あぁ、憂鬱極まりない。
億劫かつ反射的にノブを握った途端、長年の体験が培った負の産物である勘が察知した。
(………また男連れ込んでる)
もう高校生の娘を持ついい歳なのに、と嫌悪感を通り越して呆れてさえくる。
『ただいま』
押し殺したような声で帰宅を告げた。
家族からの温かみのある迎え入れなど、物心ついてこの方経験した覚えが無い。
玄関に並んでいるのはヒールの高い真っ赤な女物のパンプスと、その隣に並ぶ事でより大振りに見える男物の革靴。
それらとなるべく離すようにローファーを脱ぎ、物音を立てず適当に揃える。
酒臭くて、ヤニ臭くて、男臭くて、女臭い。
私はこの家が好きじゃない。
いかがわしい空気が漂う部屋を素通りし、なけなし程度に与えられた狭い自室にたどり着くと、漸く詰まっていた息が通った。
気分転換も兼ねて、姉妹共同で宿題をこなそうと心持ちを入れ替える。
(壁薄いからドア閉めても丸聞こえなのに……夕方からお盛んな事)
《あんなの無視無視。さっさと済ませて漫画の続き一緒に読もうよ》
(……はぁーい)
いつも通りに言いくるめられてペンを握り、問題冊子の1ページを徐に開いた。
お姉ちゃんは、私の事をよく知っている。
勉強で苦手な範囲も、傷ついた時の慰め方も、こういう時のやる気の出させ方も。
だから、いつも一緒が心地いい。
学校にも、家にも、私を好きな人はいない。
私の事が好きなのは、お姉ちゃんだけだよ。
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そす(プロフ) - ツバメさん» コメント感謝です。最近メンタルがガタガタだったので嬉しいです！ (2021年8月29日 19時) (
レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いです更新頑張って下さい (2021年8月29日 18時) (レス) id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 鼓舞の言葉が胸に染み渡りました。沢山の応援コメントに感謝の気持ちでいっぱいです、ありがとうございます。 (2021年8月26日 9時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
- 投稿、読みました。私は作者様のつくる作品が大好きです！！いつまでも更新待ちます、体を壊さないように気をつけてください！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: 4299f9747a (このIDを非表示/違反報告)
桜餅 - こんな神作品に低評価なんて信じられません…。落ち込むとは思いますが、気にしすぎないようにしてください。作者様は神です( ・∀・)ｂ！！ 深夜にすみませんm(__)m (2021年8月26日 0時) (レス) id: 5f499357d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そす
| 作成日時：2021年8月21日 15時
