第2話 文武両道 ページ2
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その次の科目も、またその次の科目でも少女の得点は見事に満点であった。
教師が揃って首を傾げる程の成果だが、彼女の才はそれだけに留まらない。
「A、7.7秒……！」
ストップウォッチを片手にした体育教師のみならず、全生徒が目の前の光景を疑った。
それが50メートル走ではなく、“100メートル走”測定という科目内容であったから。
彼女はかつて入学早々に行われた体力テストにおいても、非凡な才能をいかんなく発揮していたのだ。
基礎体力、柔軟性、持久力。男女問わず全校生徒を含めた中でも堂々の一位に君臨。
文武両道と呼ぶのが正しいのだろうが、彼女の受けていた扱いは、所謂“完璧超人”のそれとは少し違っていた。
「＿＿それでさ、結局全教科満点だったんだって、Aさん。勉強もスポーツも桁外れとか、漫画みたいだよね」
「神サマってふこうへーい。でもやっぱそんなのオカシくない？ カンニングとかじゃないの？」
「満点一人じゃん。それよかアタシ昨日やべーもん見たんだけどさァ、帰り道。
あの子ずーっと一人で金魚みてぇに口パクパク動かしてんの！ バレないように笑い堪えんの必死だったんだから！」
「うぇー、何ソレきっも！」
「勉強し過ぎておかしくなったとか？」
ギャハハハ、と下品な笑い声と共に盛り上がりは続く。
(…………)
心無い言葉が飛び交う女子トイレの前を、少女は些か複雑な心境で横切った。
こんなのは日常茶飯事。
外面は敬愛に満ちているように思える眼差しにも、裏側には決まって醜い本心が潜んでいるものだ。
まぁ、カンニングって所はあんまり間違いでも無いか。
でも別に、どうってこと無い。
《…まーた陰口大会開催してるよ、A。大丈夫？ つらくない？ あいつらの顔面ぐちゃぐちゃにしてあげようか？ ねぇA？》
先程までのやり取りの全てが可愛く思えるほど、恐ろしい響きを携えた呪詛。
それらを吐き出す姉との相手がすぐに回って来るから。
(いいよ別に、そんな事しないで)
《そうやってAが優しいから、あいつらは酷いこと言うんだよ。たまにはズカーッと痛い目見せなきゃだめだよ》
(お姉ちゃん経由で痛い目見させてまで分かり合いたくないの、私が)
《………そっか、わかった》
意固地な私に、姉は珍しく押し黙る。
どうやったって分かり合えない奴らの言うこと成すことなんか、真に受けるだけこちらの損だ。
……まぁ、あんまり言われたら傷つくけどさ。
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そす(プロフ) - ツバメさん» コメント感謝です。最近メンタルがガタガタだったので嬉しいです！ (2021年8月29日 19時) (
レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いです更新頑張って下さい (2021年8月29日 18時) (レス) id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 鼓舞の言葉が胸に染み渡りました。沢山の応援コメントに感謝の気持ちでいっぱいです、ありがとうございます。 (2021年8月26日 9時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
- 投稿、読みました。私は作者様のつくる作品が大好きです！！いつまでも更新待ちます、体を壊さないように気をつけてください！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: 4299f9747a (このIDを非表示/違反報告)
桜餅 - こんな神作品に低評価なんて信じられません…。落ち込むとは思いますが、気にしすぎないようにしてください。作者様は神です( ・∀・)ｂ！！ 深夜にすみませんm(__)m (2021年8月26日 0時) (レス) id: 5f499357d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そす
| 作成日時：2021年8月21日 15時
