一振りだけの刀剣男士 (ページ21)

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ブラック本丸編ページ21

【ブラック本丸～離れ～】
国永視点 1週間後

此与一「ﾋｸﾞｯ...ｩｯ...ｸﾞｽｯ......」

国永「此与一...すまない。あの日連れ帰ってしまってすまない......っ！」

審神者が出ていったあと
中に入ると此与一は泣いていた

俺が触れようとすると
その手を払った、恐怖に染まった
目を俺に向けていた

きっと審神者に
殴られでもしたんだろう
此与一の昔の様に綺麗な肌に
傷やアザが沢山出来ている

国永「此与一、風呂へ行こう
で、その汚れを落とそう...な？」

此与一「ｸﾞｽｯ.........ぅん」

此与一は少し考えたあと
蚊の鳴くような声で返事をしてくれた

起こそうと手を貸すが
此与一はその手を握る事は
なかった

部屋から出ると
他の刀剣達がいた
此与一見るや否や、何振かは
風呂の準備や色々を
して来るといい

残りの何振かは
花が散るようにパラパラと
散っていった

これも毎日の事だ

最初は風呂場へ着くと
あまり使われていず
汚いと思っていたのだが

さっきの何振かが掃除を
してくれたのだろう
綺麗になっていた

此与一「ねぇ......僕は本丸に帰れるの...？」

今日初めて
洗っている途中此与一が
聞いてきた

帰れるかどうか
正直俺にはわからない
此与一の本丸の仲間が助けに来れば
帰れるはずだ、

出陣して
帰るという方法もあるが
審神者が此与一を出陣させるはずがない

国永「俺にはわからん
此与一の仲間を信じてくれ」

此与一「仲間を...か
うん、信じてみるよ...！」

俺の方を向き
笑みを浮かべたが、
長い付き合いの俺には分かる

この笑顔は、嘘の笑顔だ

此与一はきっと、これっぽっちも
仲間を信じちゃいない
そりゃそうだ俺だって信じてない

それに
あの、此与一の声が
小さくなっていたのもきっと
声が出なくなったとかではない

信じることが出来なくなったんだ
此与一は顕現してまだ日が浅い

完全に人を信じる何て
数日では不可能だ

最初こそ自らの主を信じていた
だが、審神者のせいで
自分の主を...いや、人間を信じ
られなくなったんだろう

俺達付喪神でさえ
信じてもらってないかもしれん
そんな目をしている

もう、恐怖こそ無いが
何もかも諦めたようなそんな目をしていた
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