第12章_1 ページ20
1.
「んっ、」
「おみまって、くるしい、」
どうしよう。
臣が止まってくれない。
さっきからずっと俺を求めている。
確かに俺が悪いけれど、こんなになるなんて思ってなかった。
「臣っ!」
思わず声を出して引き離すと臣は少しよろけた。
そしてそのまま俺を見上げ、涙目で責めた。
「…誰のせいだよ…?」
そう言った臣の左手首にはあからさまに自分である巻いたことがわかる包帯があった。
それ以外にも良く見れば、自分で自分を傷付けた証拠がたくさんある。
「臣…、なにしたの…?」
「…?なにが?」
なにを言ってるのかわからない、という顔をして臣は俺を見る。
その目にはなにも映ってない。
「ねえ、痛かったでしょ?」
「だからなにが?」
「なにが、って…」
目線をつい臣の手首に移してしまったけれど臣はそれに気付かなかった。
気付くはずもなかった。
なにも映ってないんじゃない。
臣は、俺だけを見ていた。
きっとはじめから、俺だけを見ていてくれたのに。
なんであんなことしたんだろう。
記憶がないなんて、嘘。
本当は覚えていた。
抵抗も受け入れもせずに敬浩さんの行為を黙って受けていた。
あの感触が蘇るのが怖くて、ずっと封じ込めていただけ。
「臣、俺…」
「敬浩さんに抱かれたんでしょ…?」
「…わかる。隠しても」
「俺と同じ、顔してる」
カーディガンで萌え袖にしてる指で、俺の頰を撫でた臣。
そのまま首まで下りていく指の感覚がだんだん震えていく。
「…ごめんね、隆二…俺何も言えなかった。自分の口から話すのが怖かった」
コンクリートの冷たい地面に座り、俺の胸元に顔を埋めて、臣は話し出す。
252人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春山の小春(プロフ) - reira1227さん» ありがとうございます!また次回作でもよろしくおねがいします。 (2019年6月25日 8時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
reira1227(プロフ) - 雨宮兄弟大好きなので楽しみにしています! (2019年6月23日 17時) (レス) id: c7865bc4a4 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - 麗華さん» 返信出来ず申し訳ありませんでした。なんとかラストまで書き終えることができました。次回作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 24ef585744 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - 毎日めっちゃ楽しみに見てます!ラストまで頑張ってください!! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 860c6ebc86 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - シュニーさん» ありがとうございます!ラストシーンまで駆け足で作成中ですので是非最後までよろしくお願いします。 (2019年3月21日 12時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春山の小春 | 作成日時:2017年9月15日 20時