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結構見てしまっていたからか、彼は昼じゃないと勘違いして俺に聞いてきた。
「あ、昼だよ。ごめん」
「なんで謝んだよ、変な奴」
「へ、変な奴って…」
「だってそうだろ、」
そこで彼は言葉を切って、俺と初めてばっちり目を合わせてくれた。
「俺みたいなのと話してる時点で、この学校の中じゃ変わり者って見られるんだよ」
でも、彼は彼らしくない自虐的な言葉を吐いた。
彼らしくない、ってなんだろうと思いつつわからない事だらけの俺。
「あの、名前、教えてくれませんか…?」
唐突すぎる俺の言葉に驚いたように目を少しだけ開いた彼は、それでも少し笑って、答えてくれた。
「2A、登坂広臣」
「同い年!?しかもA組?!」
「そ、先公共は不満らしいけど」
登坂くん、は「俺頭だけはいいからねぇ〜」なんて軽く言ってみせたけれど、その横顔は儚いような切なさを帯びているような、そんな笑みが張り付いていた。
そんな表情、似合わないのに。
「頭、だけなんかじゃ…」
「ん?」
つい口に出してしまった言葉は幸いにも登坂くんには聞こえていなかったらしく、ランチパックを食べながら聞き返してきた。
「ううん、なんでもない」
ー頭だけなんかじゃ、ないよ。
本当はそう続く予定だったけど、他にどこがいいのかと聞かれ答えてしまえば俺はきっと気色悪いと思われて終わりだと思ったから、誤魔化すしかなかった。
「なんだそれ」
ーあ、笑った。
笑うとかっこいいとか綺麗じゃなくて、可愛いって言えるかもしれない。
「じゃあいっこ、聞きたいんだけど」
「何?」
「俺がA組だってわかって、距離置いてない?」
意外と気にしているのか、登坂くんは少し控えめに俺を見る。
この学校独特の、A組への劣等感がある生徒の多さ。
「いや、全然!そもそも俺今日ここに来たばっかりで何にもわかってないし…」
ただ、俺はまだこの学校については何もわからない状態で、登坂くんが言うようなA組への劣等感?的なものをもつ余裕も無いし、第一登坂くんにそんな事思わない。
「そっか」
素っ気なく登坂くんはそう言ったけど、少し口角が上がっているのがわかった。
ー喜んでくれてるなら、良かった。
「つか、隆二弁当?手作り?」
とまあ、独特のテンポで進む登坂くんとの会話。
「あー、親が忙しいから…」
「え、自分でやってんの?」
「うん」
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい! (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春山さつき | 作成日時:2017年5月15日 11時