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昔から親の手作り弁当なんてないし、自分で作るのが当たり前だった。
だから、次の登坂くんの言葉が純粋に嬉しかった。
「すげぇ！え、それ全部隆二手作り？」
「え、うん。そだけど…」
珍しいものを見るように目を輝かせた登坂くんはランチパック2袋をすでに食べ終わっていた。
「食べる…？」
「…いや、いい」
と、欲しい雰囲気を出しつついらないと言う登坂くん。…たまに不思議。絶対ガン見してるし。
「いいよ、はい」
箸でネギ入りの玉子焼きを掴み、登坂くんに差し出す。
最初はその状態で少しフリーズ。
ーよく考えたらこれ「あーん」じゃね？
そんな俺の脳内に気付いてるのかわからないが、登坂くんは笑って玉子焼きを食べた。
「ん、うまっ！隆二すげぇな！」
「そんな大層なものじゃないよ」
喜んでくれたらしく、今までで一番の笑顔を見せてくれた。
そんなに長くいないけど、登坂くんが悪い人じゃないのがわかっただけで十分だった。
ーもっと、登坂くんが知りたい。
と思ったのは弁当を食べ終わった後。しかし運命というのはテンプレのチャイムで断ち切られるのが関の山、俺も例に漏れず昼休み終了のチャイムで登坂くんとの会話が途切れてしまう。
「…あ、チャイム」
「残念、時間切れ。早く行けよ。まだ中詳しくないだろ」
「…登坂くんは？」
何と無くわかっているけど、聞かずにはいられなかった。
「あぁ、なんか…俺が居るとあいつら気に障るんだと」
「…そ、なんだ…」
やっぱり、サボりだった。
それもまた、登坂くんには似合わない表情で。
ーそんな暗い顔、しないで。
ー俺だったらそんな表情、させないのに。
登坂くんが悪い人なんて思ってないからこそ、少しずつ顔を出す登坂くんの孤独と、それを孤独と思わない彼の強さが少しずつ俺を。
「登坂、くん」
「ん？」
「また、ここに来てもいい？」
登坂くんに、近付けていく。
ー待って、俺何言ってるの？登坂くん引いてない？引いてるでしょ？！可愛い女の子ならまだしも、俺男だよ？しかも前の学校で元ヤン？とか言われてたくらい厳つい男だよ！
「…それ、俺が決めることじゃないだろ」
「へっ？」
よいしょ、とベンチから立ち上がり屋上のゴミ箱へ昼食のゴミを捨て、そのまま梯子に手を掛けてさらに上に登った登坂くんは。
「俺大体ここにいるから。気が向いたらでも」
「うん…！ありがとう登坂くん！」
太陽を背中に背負って、俺の学園生活を唯一照らしてくれる存在に見えた。
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (
レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい！ (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春山さつき | 作成日時：2017年5月15日 11時
