検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:22,843 hit

フロムヘル ページ17

扉の向こう側は、物は多いが想像していたよりは綺麗な部屋だった。

玄関に丁寧に履き揃えられた小さな靴と乱雑に脱ぎ捨てられた革靴を一瞥して、うす汚れた足でずかずかと家の中へと進んでいく。広い家ではない。入ってすぐの部屋と、あと一つ、奥に目的の部屋があるだけだ。

そうして薄い襖を開けてやれば。そこには変わらぬ彼女の匂いと、彼女にこびり付いていた呪力の残穢、それから───Aであった人間の肉片が散らばっていた。







──────────
血。血。血。

見渡せばどこもかしこも血で汚れていて、強い鉄の匂いがする。あの小さな子ども一体にここまで血と臓物が詰まっていたのかと驚いた。
彼女だったものが散らばる畳の表面は、乾いた血のせいで黒く変色してしまっている。この状態になってから、どれくらいの時間が過ぎたのか。今は大小様々な形になって四方に転がってしまっている彼女の瞳を見つけて思案する。

Aを殺したのは、十中八九Aに取り憑いていたヤツだろう。とっとと探してぶっ殺しておけばよかった。もう今はいつもと同じ残穢しか残っていないのだから、逃げ足の早いことだ。自分の玩具を横取りされたような心地で、あまりいい気分ではない。



「……あーあー。あーあーアーァ」



訂正しよう、最悪の気分だ。新鮮な生まれて初めての感覚だ、二度と味わいたくはない。まだこの子どもの謎は多い。知りたいことがたくさんあったのだ。試したいことだって、それに、なにより、

「俺のダーリンなら死んでも側にいろよ」

人間の男女は愛を誓いあった者どうしは永遠に一緒にいるものだ。
足もとに転がっていた肉片を掴み取り、掌の上の今尚温かみをもった"それ"に呪いを込めた。

フロムヘル→←フロムヘル



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.7/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 第五人格
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まめ(プロフ) - marymarimomaryさん» めちゃくちゃお恥ずかしいです…別で保存してる分は修正したのでこっちも修正した気になってましたとても恥ずかしいです報告と応援ありがとうございます (2019年10月7日 7時) (レス) id: 3642bc1b71 (このIDを非表示/違反報告)
marymarimomary(プロフ) - 写真家はレイピアではなくサーベルです。更新がんばってください (2019年10月6日 19時) (レス) id: c23eaa7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
シナ(プロフ) - 夕美さん» すみません、忘れてました。ご指摘ありがとうございます。 (2019年1月22日 21時) (レス) id: 43e26c0f2f (このIDを非表示/違反報告)
夕美 - オリジナルフラグちゃんと外して下さい、違反です。ルールくらい確認しましょう。 (2019年1月22日 21時) (レス) id: 42f7d9fc87 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まめ | 作成日時:2019年1月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。