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抑えられぬ波の綾 ページ9

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「あぁ、すみません。あなたのことになるとどうしても僕は・・・」

「うん」

「後先 考えなく、えぇ・・・。すみません、痛かったですよね」




痛いほど握られた方の手首を撫でられ、思わず肩がピクリと反応した。



彼はいつも感情のままに行動して後になって必ず悪かったと頭を下げてくる。



今回は手首を掴まれただけでまだいい方だったが、酷い時は腕の中に閉じ込められて離してくれない時もあるのだ。





「トレイさんがそんな人ではないと分かっているのに。もう、僕の目の前からいなくなるなんて考えられない」




壊れ物を扱うかのように頬を撫でられ、ザラザラとした手袋の感触を肌に直に感じる。



アズールの瞳は目の前のAのことしか映っておらず、どこか憂いを帯びたそれは、優しく細められていた。





「もう、いなくならないよ」





幼少時、人間に捕まりかけたアズールらを救うために、自らを犠牲にして捕まったAのことを、アズールら三人はいつまでも気にかけている。



ジェイドとフロイドが大人の人魚を呼んできたおかげでなんとかAは助かることが出来たが、もしかしたらその時 何も出来なかったことを彼は引きずっているのかもしれない。





「えぇ、約束です。傍にいてくださいね」





彼らがAに異様なほど執着するのは、助けられた恩なのか、それとも・・・。





「ところで、手に持っているその箱はなんですか?」

「あ! これは・・・」





少し歪な形になってしまった箱を開けてみると、どうやら中身は無事だったようだ、甘い匂いがたちまち広がる。



照れたようにそれを見せたAは、「いつもありがとう」と笑った。





「ほんっとうに、あなたと言う人は・・・!」

「初めて作ったから、美味しいか分からないけど。トレイさんと作ったから大丈夫だと思うよ」

「ふふ。ありがとうございます」





本当に幸せそうに笑う男だ。



アズールは今度は優しく彼女の手を取り、「では寮に戻りましょう」と笑いかけた。





「フロイドなんてあなたを探し回っていますし、ジェイドは頑張って店を回しているでしょう。あなたのケーキを見たら、きっと喜ぶはずですよ」

「そうかな?」

「えぇ、そうです」





心配になってこっそりついてきていたトレイは、手を繋いで鏡舎に向かう二人の姿を見て柱の陰で一人 安堵の息を吐いた。





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舞い上がる白糸→←潮風に紛れる



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蒼空(プロフ) - あ、バレました??ww (2020年10月5日 0時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん? あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・! (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユナ | 作成日時:2020年9月15日 18時

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