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渦に飛び込め ページ26

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「どこ行ってたんだよ」





一難去ってまた一難とはまさにこの事。



ようやく自室にたどり着き、ドアノブに手をかけようとしたところで、まるで地を這う獣のようにおぞましい声が聞こえた。



ギギギ、とブリキの人形のように振り向くと、そこには今会いたくないランキング第一位に輝くフロイド・リーチが、長い足をふんだんに使って大股で迫ってきていた。



Aは身を縮こませて部屋に逃げようと前へ向き直るが、それよりも早く背後から伸びてきた腕がドアノブを引きちぎってしまう。





「え、ちょ、ステンレスだよね、これ・・・」

「Aさぁ〜。やっぱ身体に教えこまないと分かんない?」

「ふ、フロイド?」

「ねぇ、どこ行ってたの」





乱暴に投げ捨てられたドアノブが、軽い音を立てて先の見えない廊下へ吸い込まれていった。



いつの間にか冷や汗が背筋を伝い、Aは流れる空気に恐怖を抱き生唾を飲み込む。





「答えろよ」

「ドワーフ、鉱山」

「なんで」

「食堂のシャンデリアを壊した新入生たちの、お手伝い」

「なんで」





淡々と問い詰めるその声は抑揚を持たず、無機質で、冷徹で、答えなければいけないと錯覚してしまいそうな何かを纏っている。



どこでもいいから、ここではないどこかへ逃げたい。



大切な幼馴染にまたも恐怖を覚え始めていることを認めたくないAは、一旦冷静に考える時間が欲しかった。





「っ、ごめんっ」





この時ほど小柄でよかったと思ったことは無い。



フロイドの腕の下をくぐりぬけ、行き着く先も考えぬままに走り出した。





「今度はどちらへお出かけですか?」





しかし、すぐに道は閉ざされた。



フロイドと二人で挟み込むように現れた男は、コツコツと靴音を鳴らして一歩、また一歩とAに歩み寄る。





「アズール、ごめんなさい、アズール」

「どうして、どうして離れていくんですか。またあなたは僕から」

「ち、違うよアズール! ちゃんと帰ってきたでしょ?」

「いっその事どこかへ繋いでしまった方がいいでしょうか。そうしたらあなたは、僕の傍で・・・」





この人たちは、ヤバイ。
脳が叫んでいる、早く逃げろと。



しかし背後にはフロイド、前方にはアズール。そして恐らくだが寮の入口にはジェイドがいるだろう。



逃げ道など、無い。





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膝を抱えて沈んでゆく→←汀で共に踊ろう



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蒼空(プロフ) - あ、バレました??ww (2020年10月5日 0時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん? あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・! (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユナ | 作成日時:2020年9月15日 18時

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